第3話 ツ・バール国の血統
経済的な安定を施した初代国王ツ・エイワン・クインクオンは、ツ・バール国の王族の基盤もうまく整備している。
ツ・エイワン・クインクオンは、興国の英雄として近隣の国々に名前が知れ渡ると、国王の血筋を残すための大公家と、王位は継がない宰相家を設立した。
クインクオンは、建国前に妻と長男・次男を亡くしており、建国時に北の王国から、身分の低い側室の娘を正室として、もう1人を側室として政略結婚させられている。
その際に前妻から生まれた長女を人質として北の王国の側室として迎えられている。
ツ・バール国の建国当時は、国としては吹けば飛ぶような国だったので、大国である北の王国の庇護下で、ツ・バール国は国を運営することとなった。
2人の正室と側室は、母は違うが、どちらも母の身分が低かった事で、後宮では裕福というよりは、身分の高い兄弟達から虐げられていたので、クインクオンの正室と側室は、建国時の貧しい生活でも耐えてくれて、クインクオンを助けていた。
クインクオンが農地を開墾する際も2人が一緒に行って、3人で仲良く作業をして食事をしていたところを何人に目撃されている。
建国当時は、王族であろうが、額に汗を流して働いていた。
クインクオンは、正室から二男一女、側室から一男一女を儲けた。
その正室から生まれた三男を次期国王に指名し、帝国の繁栄を願って、四男を万が一の為に残していたが、三男に男子が誕生したことで、四男には、宰相家として国政の手助けをさせる家として、ツワ家を設立させ、兄弟でツ・バール国の繁栄の柱とした。
また側室に生まれた五男には、大公家としてツヤ家を設立させる。
また、建国前に一緒に建国に協力していた1人の女性がいたのだが、帝国建国と同時に北の王国の皇女を正室と側室に迎えたことで身を引いていた。
時々、クインクオンの手伝いをしていた事で、2人の正室と側室とも面識があったその女性は、その後、冒険者として生計を立てていたのだが、戦いの中で、右腕と左目を失い、生計を立てられなくなった事を憂いたクインクオンが、2人の妻の了解のもと、自分の2人目の側室として向かい入れた。
そして彼女から3人の娘が誕生し、4人目に男子が誕生したことで、2つ目の大公家ツフ家を設立させる。
ただ、北の王国との関係があるので、ツヤ家より下に置くことになる。
国王と、宰相家であるツワ家、二つの大公家のツヤ家とツフ家が王族として帝国に君臨し国政にあたった。
その後、第5代までは、直系の長男に引き継がれたが、第5代は病弱だったことで、世継ぎを持つことなく他界したことで、第6代は、第5代の弟に引き継がれた。
ただ、それにはツ・バール国内で変な噂が流れている。
当時、ギルドの召喚魔獣の労働力が、奴隷商人達の経営を圧迫していたのだ。
ギルド設立当時は、南の王国で扱われるだけだった、召喚魔獣による労働力の提供なのだが、徐々にギルドの冒険者が増えたことで、召喚魔獣の提供量が増え、奴隷を買うより、命令を聞いてくれるロボットのような召喚魔獣が、持て囃されるようになった。
当時は、ギルド支部の設立を拒んでいたので、帝国には召喚魔獣の供給がされてなかった事で、奴隷商人達に目をつけられる。
ツ・バール国としても、穀倉地帯の労働力の強化は、必要と考えていたのだが、それに奴隷商人達が目をつけた。
奴隷商人達にとっては、ツ・バール国は最後のフロンティアに思えたのだろう。
あらゆる方法を駆使して、ツ・バール国にコネクションを設け、施せる手は全て使って、ツ・バール国に取り入り、亜人奴隷を承認させてしまったのだ。
それが、第4代国王の時代におこなわたので、その報いを、子供の第5代国王が、呪いとして受け継いだと、密かに囁かれた。
その後、第7代は、第6代の長男に引き継がれ、その後は順調に即位が続くかと思ったのだが、第7代国王の長男が、幼少期に他界しその後は、女子のみの家系となってしまった。
その結果、第7代国王の次女を、ツヤ大公家の次男に嫁がせていたことで、急遽ツヤ家の次男を第8代国王とした。
ただ、皇位がツヤ家に移った後は、短命の国王が続くことになる。
第9代の国王は第8代国王の長男に引き継がれたが、第10代は、第9代の長男に引き継がれた後、直ぐに他界してしまったため、第11代国王は、第10代国王の弟に引き継がれる。
第11代国王は、結婚前に王位を引き継がれたが、結婚話の途中で急遽他界してしまったので、後とりがなくなってしまったことで、叔父である第9代国王の弟(第8代の次男)に、第12代国王は引き継がれた。
男子が即位後、直ぐに他界してしまったため、12代目は、9代目の弟に引き継がれたのだが、あまりに直系に引き継がれなくなったことで、血筋を絶やさない為に、12代目を引き継ぐ際に弟(第8代国王の三男)に新たな大公家を起こすことになり、ツヤ家の分家として、第三の大公家としてツネ家を設立させた。
ただ、ツネ家を設立したが、この家系も直系で継ぐことが、直ぐにできなくなった。
このツネ家も長男に引き継がれはしたが、その長男は、女子4人を授かるが、男子の誕生はなく、次男に家を引き継がせるが、次男にも男子が誕生しなかったことで、ツネ家、初代の長女が宰相家嫁いでいたので、その長男をツネ家の4代目にしている。
王家の血筋に戻ると、その後も、直系の血筋が途絶えつつ進む。
第12代国王は、長男に第13代国王を引き継いだが、第13代国王の長男は、成人前に他界してしまったため、次男が第14代国王となった。
第14代国王が次男に引き継がれはしたが、三代までは続いたことに安堵するが、第14代国王は、結婚直後に他界してしまい、子供を残すことなく死んでしまった。
そのため、第14代国王の叔父である第12代国王の弟に、第15代国王を引き継がれた。
この頃から、宰相家では、ツヤ家の家系には国王に相応しくないという話が出始める。
初代国王の血筋ではあるが、ツヤ家の次男に第8代国王にせず、ツヤ家を継いだ長男に皇位を継がせれば直系の長男に継いでもらえ、短命の国王が続く事なく安定したと言われるようになる。
結果としてツヤ家からの国王は、3回、直系が途絶えてしまったので、皇位をツフ家に移す計画に入った。
第15代国王の長男が第16代国王として王位を継いだ。
だが、第16代国王が他界した時、第16代国王は未婚だったことで、空席となった国王位に、第16代国王の妹が、ツフ家の三男に嫁いでいたことで、ツフ家の三男に国王位を継がせたのだ。
その裏には、宰相家の強い発言によってツヤ家の主張が押し切られた。
宰相家としても帝国の血筋を守るという思いがあったと思われる。
だが、ツネ家の血筋が宰相家に更に近くなったことで、宰相家の思惑が変わった。
このまま、ツヤ家とツネ家に皇位を継がせていては、いずれ血筋が絶たれるのではないか。
そう考えるように宰相家を継いでいる当主が、代々、後継に言うようになり、宰相家こそが、ツ・バール国を、牽引しているのだという思いが、代々、引き継がれて行くようになった。
表向きは、三大公家を立ててはいたのだが、どの家でも長続きしないのなら、宰相家の血筋に集める方が良いと、代が変わるごとに強くなった。
その転機が来たのが、第11代宰相のツワ・リンデル・リョウクンになる。
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