第14話 ミッションインコンプリート
ショッピングモールに着いたものの、私の予想通り、先輩方は差し入れのことなんか忘れてるんじゃ?というくらいにアパレルショップで服を物色、帽子屋では変な帽子をひたすら私に被せて遊ぶ、フードコートでたこ焼きを食べる、ゲームセンターの太鼓のゲームではしゃぐ、といった調子だった。私はと言うと、先輩方が全て奢ってくれるのを良いことに、本来の目的を忘れて全力で楽しんでいた。
ガンシューティングゲームを岡・高田、熊澤・私のコンビで交互にプレイし、コンティニューもそろそろ10回行くんじゃ?という頃、ふいに熊澤が、
「あ、やば。もうこんな時間だよ。」
と告げた。
「えー、やっとボスまで来たのに。何時ー?」
プレイ中の高田が言う。
「5時になるよ。」
「え!やばいじゃん!!これでラストね!」
ボスの前に屈した4人の捜査官は、慌ててゲームセンターを後にした。
「で、何買うの?」
高田が尋ねると、
「ワインとか良いんじゃない?」
と、岡。そうだね、時間ないしワインにしよう、と輸入食料品店に向かい、ラベルのお洒落な赤・白のワインとチーズ・サラミの詰め合わせ、缶ビールと酎ハイ、お茶のペットボトルをレジに運んだ。
3人の社員が数千円をレジに出したので、私もそれに倣うと「イッシーは学生だから千円で良いよ。」と言うことだったので、お礼を言って漱石を財布に戻した。
会計が終わり、お金をほぼ出してないので荷物くらいは、と一番重い袋を手に取る。3人は「時間がない」と慌てていたが、私は約束の時間を知らなかったため、
「ところで何時に谷藤さんちに行く予定だったんですか?」
と聞くと、熊澤が
「5時半。」
と答える。
通りがかったエスカレーターホールの時計をチラリと見上げると、17時15分を指していた。
「えぇっ!?マジでヤバいじゃないですかっ!」
さっきまでのゲームのスピード感さながらに、早歩きする捜査官たちであった。
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