第14話 相対!探し求めていた男
タッタッタッタッ…
「そういえば案崎さん。」
「なんだ?」
「もしその案崎さんの因縁の相手が後ろにいるとして、1位を阻止したとします。でもそしたらまた来年再来年とその男は参加し続けるから完全に防ぐことは難しくないですか?」
「あぁ、そのことなんだが…」
「んん…実はな……俺はそいつを現世と同じように、死へ追いやろうと思っている。」
「えぇ!翔子さん天国にいるんですよ!」
「だから、自滅はしない。これが終わったら、ちゃんと天国に行けるように勉強するよ。」
「ならよかったですけど…てか、あの世に死ってないんじゃないんですか?前そう聞いたんですけど…」
「実は昔、あの世にも死という概念があったんだ。あの世でもいろんな目をうまくすり抜けて悪事を働いてしまったり、生前の行いが意味わからんくらい悪かったりすると、天国のどこかにある崖から落とされて、地獄も突き抜けて存在が抹消される場所へと追放されていたらしい。」
「そんな情報どこから…」
「俺が生きてた時は、情報の抜き取りばっかしてたからな。ま、現世なら3日でいけただろうが、あの世ともなると監視の目がすごくてな。調べ上げるのに2年はかかった。相当苦労したぜ。」
「そ、そうだったんですね…てか、なんで天国にそんな場所があるんですか!」
「んー…まぁ天国から地獄へGO!のもっとひどいバージョンを作りたかったんだろ。」
「え、えぇ…」
「お前ら、まだ一緒にいたのか!」
「ん?」
なんか聞き覚えのある声。これは…
「掛釣!」
「どけ!僕の前に塞がるな!〈フック〉!」
そういうと、いつぞやのようにフックをこっちに飛ばしてくる。
「同じ手にかかると思うなよ!」
俺はフックを掴み、掛釣の方へ引っ込むのを利用して突っ込んだ。
「〈ターボ〉!」
「くっ!」
間一髪避けられたが、その流れで攻撃を続ける。
「おりゃぁぁあ!」
「ぐわぁっ!フ、〈フック〉!」
数発当てたところでまた距離を離されてしまった。案崎さんがこちらを見ている。俺は目配せをし、先へ行くよう促す。
「貴様…よくも僕を蹴ってくれたな。無礼者!」
「なんだよ無礼者って。こっちは八百長でやってんじゃねぇんだ。ちゃんと倒させてもらう。」
「そんな口を叩けるのもこれで最後!〈フック レベル2〉!」
「なんだって?」
するとフックがこちらへ向かってくる。レベル1と変わってなくないか…?
「ふふん。おおかた、何も変わってないと思ってるんだろ?」
「実際そうだからな。」
「これからが見せ所だ!」
フックが目の前に来た。俺はそれを余裕で避けた。はずだった。
「うぐっ!」
避けたはずのフックが軌道を変え、俺の体に巻き付いてきた。
「どうだ!これが〈フック レベル2〉だ!」
「そういうことか…ぐぐっ」
「そしてこのまま!」
掛釣は俺を空中へ放り投げる。何も抵抗できずに落下するのを感じる。そして…このやな予感!
「このままフックで体を貫いてやる!はぁ!」
シュルルル、とこちらへ伸びてくるフック。こうなったら!
「〈ターボ レベル2〉!」
サッ…ドテッ 俺は地面へ落下する。
「いってぇ…でも、これでフックは当たらない!」
フワッ
「チッ、お前もレベル2を使えるんだったな。」
「あぁそうさ。甘く見るな!はっ!」
俺はレベル2分の〈ターボ〉を使って距離を詰める。
「どりゃ」
一瞬無を感じた。そして次の瞬間俺も掛釣も吹っ飛んでいた。
「ぬわぁっ!」
「ぐふっ」
なんだ一体!
「いよいよ終盤。ここまで温存してきたスキルを今使うとき!」
「だ、誰だ!どこから来た!」
「君たちの数十m後ろから。そして今、君たちより前へでた。」
「この距離を一瞬で詰めるって…どんなスキルだ…」
「無礼者め!僕の前にふさgボギャッ!」
「あっていきなり無礼者とは。君はこのレースをなんだと思っているんだい?え?」
そういうともう一発、掛釣を革靴で蹴る。なんだこの男…スキルを使わずともこの攻撃力って…
「うげっ」
「丁度いい。まとめて逝ってもらおう。」
まずい!まだ少し残ってる〈ターボ〉を使って逃げるしか!
「待て!」
「ん?」
「はっ!案崎さん!」
「はぁぁ!」
ドスン!と鈍い音がした。案崎さんの拳が男に防がれている。
「走太に掛釣!お前らは手を出すな!こいつは俺の因縁の相手だ!」
「おやおや…君、いや、お前は…」
「まさか、その男って!」
「そうだ!だから手を出すな!早く先へ進め!」
この男が…
案崎さんの声からは、震えることすら忘れるほどの圧と覚悟を感じた。正直、ここで先へ進んでしまうのはあまりにも素っ気ない。しかし…これが案崎さんの敵討ちとなるはずだ。首を突っ込むわけにはいかない!
「くっ…わかりました。〈ターボ〉!」
「あ、待て!〈フック レベル2〉!」
案崎さん…どうか、負けないで!
「久しぶりだな、案崎…いや、ブラックガイド。」
「探したぜ…何年もな。」
「ふん。まさかまたこうして会うことになるとは思わなかったよ。本心をいうと、あえてすごく嬉しい。君に殺されたことへの復讐ができるんだからね。」
「こっちも嬉しいさ。翔子の人生を奪ったことへの完全なる復讐ができるんだからな、」
「ふん…だが、悲しいことに君じゃ私には勝てんよ。どうあがいても、ね。」
「知るかそんなこと。俺は、今まで抱えてきたこの感情を解き放つ!それだけだ!」
「いいだろう。お前を倒すなど歩くより簡単なことだ。すぐに終わらせよう。」
「いくぞ…覚悟しやがれ…ここでお前を!」
「消す!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます