第13話 炸裂!最後の〈ダブル〉
グォングォングォン!
「ふっ!くっ!チッ、出たり引っ込んだりが速いんだよ!」
「まだまだ遅い方だ。もっとスピード上げてくぜぃ!」
グォングォングォングォングォン!
「がっ!」
ドリルが少しだけかすってしまった。たった一瞬だけだが、ドリルなだけあって中々の痛さだ!
「おいおい、倒れてる場合か?ワテの〈ドリル〉がお前の腹を貫くぞ?」
「あの世だから死ぬことはないとはいえ…痛いし、もっとマシな方法でやるときはやってほしいね!」
「そうなんないように自分でなんとか防いでみろよ!ゴラァ!」
「ぐっ…」
この盛栗という男、間髪入れずに攻撃してくるせいで体格を認識できない!認識しないと分身させられないっつうのに…
グォングォングォン!
「うぐっ!」
足をかすった!痛い…
「もう終わりか?あっけなかったな。じゃ、脱落しろぉ!」
盛栗は自身をドリルにするため、1度動きを止めた。チャンス!
「〈ドリル レベル2〉!」
「〈ダブル〉!」
ボム、と盛栗の分身が作り出される。
「ほう、そういうスキルか!だが無駄だ!そんなんじゃ防げないぜ!」
「わからないだろ!〈ドリル レベル2〉!」
分身も本体と同じように回転を始める。ダメージ自体は同じだから、正面から突撃して攻撃がかち合ったら耐久性で負けてダメージは入らないが、うまく当たれば脱落させられる!
「偽物が本物を倒せると思うなよ?」
「あいにく、こっちは1回偽物で本物を倒してんだ。見くびるんじゃない!」
「はっ、そうかよ!」
グォォォンという回転とともに盛栗が地中へ潜る。俺の作戦は、盛栗が地中から出てきたところを避け、そのタイミングにあわせて横から分身を突撃させる、というものだ。
「よし!ここだな!いけ、分身!」
俺はそれを避け、地中から分身を突撃させる。勝った!
「それくらいわかりきってるよ。」
「なに!」
盛栗はさっきより高く跳び上がってきたことで分身をよけ、上から地面へ蹴り落とした。
「〈ドリル〉!」
そして、盛栗のドリルが俺の分身を倒してしまった。
「はっはっは!ま、こういうことさ。わかったかい?二身君。あっはっはっはっは!」
「そんな…」
「今お前さんにとどめを刺すのは容易いが、どうせなら、鬱憤晴らしのサンドバッグになってもらうかな。ゴラァ!」
「ぐはっ」
「ったく!ガキの!クセに!年上に!たてつきやがって!」
「うぐぁぁっ!」
「ほら、早くたてよ!ちゃっちゃと鬱憤晴らして先に行きたいんだ。」
「ふざ…けるな…」
俺は、やられるためにここに残ったんじゃない。こいつを倒して、先輩達の敵を少しでも減らすためだ!一度は救われた身…今ここで、ちょっとでも恩を返さないと!
「立てねぇならくたばりな!〈ドリル〉!」
「…〈ダブル レベル2〉」
「なっ」
ボム!といういつもより大きめな音とともに、俺の分身が作られる。だが、レベル2では分身が強化されている!
「〈ナックル〉!」
そう叫ぶと、釜茹で地獄で戦ったあの男の姿になる。
「いけぇ!」
ズドォン!と相変わらずのパワーをもった拳が振り下ろされる。
「うぉお!」
間一髪、盛栗はそれを避ける。
「けっ、〈ドリル〉!」
「いけ、〈メタル〉!」
すると今度は、走太先輩達と出会う前に戦った〈メタル〉の使い手の姿になる。
そう、レベル2になると、体格さえ覚えていれば、目の前にいなくとも分身させることができる!
ガツン!
「な、なんだと!」
「殴れぇ!」
そういうと分身は盛栗を攻撃する。〈ドリル〉では大してダメージを与えることはできない!
「うわぁぁっ」
盛栗がよろめく。
「まだレベル2は溜まってないだろ?つまり、お前の負けだ!」
「ふ、ふざけるな!このやろー!」
「負けを認めろ!〈ガイド〉!こいつを叩け!」
俺は分身を案崎先輩に変身させる。流石は先輩、スムーズな動きで盛栗に攻撃する。
「な、なんのこれしき!」
「力を貸してください…〈ターボ〉!」
そして次に、走太先輩に変身させる。
走太先輩は、ビシュゥゥン!と高速の蹴りを放つ。これには盛栗も吹っ飛ぶ。
「はぁ…はぁ…」
「俺はお前みたいに勝ち誇った気でトドメをすぐに刺さないなんてことはしない。今ここで、終わらせてやる!」
「だまれ…先へ進むのはワテやぁ!うぉぁぁ!」
〈ドリル〉も使い切ってしまったので、素手で立ち向かってくる。これで完全に、お前の負けだ。
「じゃあな、盛栗!」
俺は殴られる直前に目の前の分身を俺に変身させる。
「はぁあ!」
「ぼがっ…」
俺と分身のダブルアタックによって、盛栗は倒れた。中々な相手だった…
「強者に…たてつくんじゃねぇぜ…」
よし…じゃあ俺も先へ…
「俺が先だ!」
「いや私よ!」
「僕ですよ!」
行こうとしたら後ろから3人走ってきた。もう時期分身も消える。いま戦いになったら勝ち目はない…だったら!
「〈ナックル〉!周りの壁をぶち壊せ!」
この高い壁が崩れたら、他の奴らもひとたまりもないだろう。これでいい…先へ…行かせないためには!
「お?なんだ!壁が!」
「こんなの防げない!」
「いやぉぁ!」
「ふっ…みんな仲良く脱落だ。」
先輩、あとは、頼みます!
ガラガラガラァン!
「なんだ、今の音!」
「壁が崩れてます!まさか…二身…」
「…仕方ない。二身の犠牲を無駄にしないためにも先を急ぐぞ!」
「おーっとここでトップ2人がフィフスゾーンを抜けたぁ!後ろの選手たちは壁の崩壊によって全員脱落だぁ!」
「よし!トップで抜けましたね!」
「残りの敵は2人か…あいつがいればいいが…」
「よし、ここからゲートまで走って、くぐり抜けたらゴールです!」
「いや、ゴールじゃ…まぁいいや。それはお楽しみだ!」
「どういうことですかそれ?」
「お?全員フィフスゾーンを抜けたみたいですね…ん?ま、まぁいいです。さて、4人の距離はそう離れていません!果たして、どうなるのでしょうか!」
「走太、いよいよクライマックスだ。最後まで突っ走るぞ!」
「はい!」
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