68~69代 大平正芳(第一次~第二次)

名前  大平正芳 おおひら まさよし

生没年 1910~80

出身  香川

在職  1978.12~79.11

    1979.11~80.7

与党  自由民主党 


・大平派のリーダー。演説や答弁の際に「あー」、「うー」と前置きをすることから「アーウー宰相」の異名があり、また風貌から「讃岐さぬき鈍牛どんぎゅう」とよばれた。言いたい放題か。(まあ、「何もせんじゅうろう」よりはましか……)「あーうー」は当時流行語にもなったらしい。

敬虔けいけんなキリスト教徒だったそう。戦前は大蔵官僚で、池田勇人が上司だった。


・三木武夫が辞任した際、総裁を狙ったが、福田赳夫が「2年で政権を禅譲ぜんじょうする」としたために福田と提携、「大福連合」を形成した。しかし2年後、福田が約束を反故にし、再選をかけて出馬すると大平も出馬、田中派の支援を受けて予備選に勝利した。福田はこれを受けて本選を辞退、大平が総裁となった。


・当時の世界情勢は、一時緊張が緩んでいた東西が再び緊張をはらみはじめた、新冷戦時代だった。1979年にソ連がアフガニスタンに侵攻すると、大平首相は西側陣営の一国として、モスクワオリンピック(1980)をボイコットした。福田は全方位外交を志向したが、大平は対米協調外交をとった。ただし、同じアジアの国として中国との関係についても考慮し、日中文化交流協定などを結んだ。

・大平内閣は田中派の影響が強かったため、「角影内閣」と呼ばれた。福田を支援する三木派との対立は続き、1979年の衆議院議員選で自民党の議席が過半数を割り込むと、党内の反主流派(三木派など)が反発し、党は分裂した。

・衆院選後の首班指名選挙では過半数を得る者がおらず、福田との一騎打ち決戦となった。福田(福田派、三木派、中曽根派)と大平(田中派、大平派、新自由クラブ)の決戦投票の結果、17票差で大平が再選し、第二次大平内閣が成立した。しかし、党の分裂は継続、1980年に社会党が内閣不信任決議案を提出すると、反主流派はその採決に公然と欠席してこれを可決に追い込んだ。不信任決議案はパフォーマンス的な意味があり、当の野党も驚いたという。なんじゃそりゃ。


・大平は不信任決議案を受けて衆議院解散を選び、6月22日投票の、衆参両日選挙となった。しかし、5月31日、大平は突如入院した。その後、一時は回復したものの、6月12日に急死した。70歳だった。

・大平の急死を受けて、自民党は弔い選挙となって挙党態勢に向かった。国民も同情票(香典こうでん票とよばれた)を多く投じた。その結果、自民党は衆参両院で安定多数を大きく上回る議席を得て大勝した。


・個人的な印象ですが、やっぱり人間は平常時にはなかなか団結できないものなのだなあと思いますね。大人になったらこういう逆説的な団結しかできないのは、少し嫌だなあと思う反面、結果的に団結できたのならそれでもいいような気もします。いずれにしても、自民党は大平総裁を失う代わりに選挙に大勝しました。



・大平は読書家だったそう。学者みたいな人だったらしい。

・個人的にすごくびっくりしたのは、対米英蘭開戦を告げた大本営報道部長の大平秀雄陸軍少佐が大平正芳の従兄だということ。戦中の歴史に興味のある人なら一度は見たことのある、太平洋戦争開戦の動画でしゃべっている人ですね。びっくりです。


【大本営対英米蘭宣戦布告発表】

https://www.youtube.com/watch?v=EKIhimxogMw


・第一次内閣の厚生大臣は橋本龍太郎、官房長官は加藤紘一。

・第二次内閣の文部大臣は谷垣禎一、大蔵大臣は竹下登、ほかにも宇野宗佑や後藤田正晴、小渕恵三といった人々が閣僚に名を連ねている。なお、大平急死後は伊東正義副総理が首相代理となった。



在職中の出来事

1979.5 大三島橋開通(尾道—今治ルート)

  .6 元号法公布。これによって昭和以降も年号が現在まで存在している。

    カーター米大統領来日

1979.10 衆議院総選挙、自民党敗北。自民党非主流派、大平退陣要求

1980.5 衆議院解散

    モスクワオリンピック不参加決定 

  .6 大平首相急死 衆参同日選挙

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