第32話
☆☆☆
「A組のあの子、最近可愛くなったよね」
「昨日も男子に告白されてたよ」
そんな噂が聞こえてきて、あたしと郁乃は視線を絡ませた。
可愛い子は楽に生きている。
それは間違いだ。
あたしたちが正してあげないといけない。
放課後になるのを待って、あたしと郁乃は誰もいないトイレに向かった。
今日は噂のA組の子が一人で部室に残っていることが、もうわかっていた。
スマホで。学校中に取り付けた監視カメラ映像を確認しながら、顔に包帯を巻いていく。
ジャージに着替えて、袋につめた道具を持てば準備は完璧だ。
鏡の映っているのは2人のテスター。
美しい者を成敗する、正義のヒーローだ。
「さぁ、テスターの時間だよ」
あたしはそう言い、トイレから出たのだった。
END
テスター 西羽咲 花月 @katsuki03
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