第8話

「ふふふっ。本当に綺麗な目ね。でもこれをつけるためには自分の目を取らなきゃ」



テスターはブツブツと呟いて思案を始めた。



テスターから手を離された智恵理はそのままぐったりと頭をたれてしまった。



「智恵理、智恵理!!」



必死に声をかけるが反応がない。



死んでしまったんだろうか?



床にはボトボトと血がたれていく。



「仕方ないから、これはあたしが食べちゃおう」



テスターはそう言うと、智恵理の眼球を口に放り込んだのだ。



クチャクチャと音を立てて粗食し、また吐き気がこみ上げてくる。



「次は……」



ゴクンッとすべて飲み込んテスターが、栞へ視線を向けた。



栞は今にも倒れてしまいそうなくらい青い顔をしている。



「いや……いや!!」



叫び声を上げ、どうにか逃げようとして足をばたつかせ始める。



勢いあまって椅子ごと横倒しに倒れてしまった。



テスターはその様子を見て楽しげに肩を震わせて笑う。



「美少女の顔が歪む姿って、何度見ても楽しいののよねぇ」



ゆっくりと近づいていくのも、わざと栞を怖がらせているからだろう。



「あなたの髪の毛、とっても綺麗ね。日本人形みたい」



テスターが倒れている栞の隣に膝をついて座り、その髪に触れた。



「触らないでぇ!!」



栞は首を振ってどうにかテスターに触れられないように必死になる。



テスターはそんな栞の前にナイフを突き出した。



「ひっ」



栞が小さく悲鳴を上げて動きを止めた。



「これで頭皮を剥ぎ取って、私のものにしてしまいましょう」



テスターはわざとらしく栞へ向けて説明し、それから栞の髪の毛を掴んで上を向かせた。



「いやぁ!! やめて! そんなことしたら死んじゃう!」



その通りだ。



いくらなんでも頭皮を引き剥がされて平気でいられるわけがない。



あたしだって今、意識を飛ばさないようにするだけで精一杯なんだから。


「ちょっと、おとなしくしなさいよ」



テスターが強引に顔を上げさせても、栞はそれに抵抗して首を振る。



その拍子髪の毛が何本が引き抜けてしまったようで、テスターは激しく舌打ちをした。



「これじゃ髪の毛がなくなっちゃうわ。早くしなきゃ」



そう言ってナイフを栞の額にナイフを突き立てたのだ。



「キャアアア!!」



栞の絶叫が鼓膜をつんざく。



テスターはそのままナイフで頭皮を引き裂きはじめた。



流れ出る血に栞の顔がぬらされていき、真っ赤に染まる。



「なかなか切れないわね。骨が邪魔をしているのかしら」



思いのほかてこずっているのか、テスターの目元が険しくなった。



栞はグッタリとして目を閉じている。



「栞……」



どうにか声を振り絞って名前を呼ぶけれど、返事はない。



意識が遠のいていく。



「まったく、仕方ないわね。他に道具が必要みたいだわ」



テスターが諦めて栞から離れていくのを見て、あたしはまた意識を手放してしまったのだった。

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