第36話

駅前には、どこにでもある飲食チェーン店が並び、目立った企業や店はなく、隣の県まで仕事に行く人達の住宅しかない。そんなノンカルチャーな僕の街。都会でもなく、自然が豊かでもない。そんなノンカルチャーな僕の街。

 それでも僕たちが生きている街。

 僕は駅から歩き、幹線道路から離れた旧街へと入っていく。複雑に入り組んだ迷路のような道を進み、苔むした神社の階段を登り、神社の裏手に回る。池に着くと、その畔に佇む木を見上げる。

「ツクモ、待たせたね。会いに来たよ」

すると木から無数の火の玉が出てきて、僕を囲んだ。そして木の幹が開いた。僕はその中へと入った。

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