第6話 やれること
戦の前線。
それは、死んで来いと言われたようなものだった。
「父様…ご冗談ですよね?」
ユエンは恐る恐る言葉を発した。
すると王様はユエンを睨みつけた。
ユエンは恐怖で萎縮し、身体を震わせた。
それを見たミホンはすぐさま王様の注意を自分に戻させた。
「ユエンには私からよく言っておきます。申し訳ございません。それでは私は出発の準備をして参ります。」
王様は何も言わずその場を去った。
王様専用の護衛も居なくなったことを確認するとミホンはユエンの腕を引っ張り自室へ連れ込んだ。
近くの椅子にユエンを座らせ、ミホンはしばらく黙ったまま立っていた。
「兄様…。 ごめんなさい、私のせいで…。」
ミホンは動かない。
「兄様、行かないで。」
ミホンはその一言でやっと動いた。
「ユエン。今日から3日、私はお前に剣を教える。」
1人で生きるため、せめて自分の身を守れる程のことを教えてあげなければと、ミホンは思った。
と言ってもたった3日で今まで扱えなかった剣を扱える様になるほど、弟に才能がある訳では無い事は承知の上で、簡単な事を教えた。
それは実に単純だった。
「いいか?お前は剣を振ることさえできないのだ。だから、ただ構えるだけでいい。」
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