第23話 自分を取り戻す時間

5月に入り、派遣で営業職についた私は目まぐるしい毎日を送ることになった。


ただ今回の職場は人間関係や環境も良く働きやすかったのが救いだった。


何よりも、犯罪者や被害者でもなく普通の健常者と言っていいのかわからないが平和に過ごしている人達と関われることが何よりも救いだった。


被害にあってから約1年。


私はこの1年、犯罪者である元カレや各被害者の方や、今回裁判に持っていけた彼女、警察、弁護士等ととにかく、環境が悪かった。

毎日頭を使い何が1番最善なのかを考えながら行動をし、被害者を増やさないよう彼の携帯を使い連絡をしたり、進捗状況なども各被害者の方にしていた。

途中心が疲弊し折れ、首吊りをし自殺未遂までしたがその後、首の調子が悪いまま、心もうつ状態のまま生活も顧みることもなく荒んでいった。

とにかくベッドの上から動けなかった。


憎しみや後悔に苛まれ、身に覚えのない借金を背負う事になり、心の余裕等なく毎日が過ぎていった。


【なんでこんな目に遭わないといけないのか】


この言葉が何度もよぎり、いつまでも前を向けずにグルグルとしており冷静さも自分らしさもわからなくなり疲れた1年だった。


私は今年40歳になる。


家族は遠く離れ、コロナ禍で数年会っておらず、姪っ子も甥っ子もいるが私のことなど覚えてはいないだろう。

母とは縁を切っており、父とも連絡は取れず、電話が繋がるのは祖母だけだった。


そしてこの約1年、事件に巻き込まれLINEを使うことを辞めていた。


それくらい私は普段仲の良かったみんなと距離を置き事件がどうしたら各被害者にとって良くなるのか、自分にとって最善の形を取れるのか模索していた。


楽しいことも嬉しいことも笑うことも本当に忘れた1年だった。


最近になりやっと、自分が何が好きで、何を楽しみにしていたとかを思い出せはしないが考えるようになった。


【そして今後どう生きていこうか】


というテーマが大きい。


私は関東出身の為、何よりも早く関東に帰りたいと考えている。

こんな土地にはもう居たくない。早く離れたい。

そして借金は3年返済でしていくだろう。

飼っている猫は今年17歳になる。

2匹で双子だったが4月5日に1匹、脳梗塞で亡くなった。

高齢の猫と共に引っ越すのは愛猫の負担を考えると出来ない。


3年返済案は恐らく月6万程ずつ返していく形になるだろうと思う。

返しながら貯金をするにはどうしたら良いのか。


最近の趣味は節約になっている。

最短でお金を貯めるには収入を上げ、固定費を見直すしかないが、貯金が0な為引っ越しという手が打てない。


まず目先の生活を1日単位で考え、1日に使える金額を最低額設定し過ごしている。

じゃないと生活していけないからだ。


勤務地はは一駅先だが電車賃を浮かすために行き帰り徒歩で40分歩いている。

外食も禁止。

飲み物はうちから水と麦茶を持参し、昼休憩はパン1つにしている。

そして地味にポイ活を始めた。

なんともまぁ鬱でズボラさに拍車をかけた性格になりポイ活なんて本当にめんどくさくてたまらない。

ポイントに出来るレシートをとっておいたり、歩いて貯まるポイント、アンケートに答えてポイントを貯めるなど本当に地味にめんどくさく、本当にこれが得なのだろうかと思いながらやっている。


【早くお金を貯めたい】

今この気持ちが1番勝っている。

お金があれば引っ越せる。借金も返せる。

友人ヅテに聞いたが風俗はコロナ禍で稼げず皆苦労しているらしい。

昔みたいに1日に10万以上が当たり前の時代は終わっているとの事だった。

AVも考えたがAVも同様コロナ禍により制作費削減やコロナ対策により撮影が少なくなっており1本あたりのギャラもかなり下がっているとの事だった。


何よりももう、私は若くはない。

女としての市場価値などもうないと考えている。


どうやって稼いだら良いのか頭を抱える日々。


だが、まず自分を見直さなくてはと考えている。


そして自分は何が好きで、何が楽しかったかを思い出したい。


そして自分の将来どう生きて生きたいのかを考え直して行きたい。


【部屋の汚さは心の乱れ】

【肉体は生活の乱れ】


本当にまさにそうであり

ここからゆっくり直していきたいと思っている。








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