第21話 第5回公判

本来判決が出るはずの1月24日は予定通り開廷することが電話で確認が取れた為、すぐに用意し向かった。


予定より30分も早く裁判所の最寄り駅に着いてしまった為、のんびり歩き信号待ちをしていると、金髪ロン毛の男が歩いていた。


奴だった。咄嗟に隠れ見ていたが

颯爽と歩く姿に、【あぁ、示談が進んだんだな】と思い知らされた。


そして裁判所へ着くとまた1階で誰かを待っているだろう姿に冷めた目で私は奴を見つめ、目の前を通り過ぎた。


そして時間になり、開廷した。


開廷すると傍聴席に相談していた弁護士さんがおり目が合った為、会釈をし席に着いた。


私含め14人傍聴席に人がいた。

そして開廷すると共に裁判官の言葉で始まり、やつの弁護人から【示談交渉中であり進行途中です】との言葉に裁判官は困惑したのか声を変え【今までの経緯からある程度の事は決めていますが、示談の進捗状況等、書類を来月の22日までに提出してください、示談の話があるとの事で…それでは確認書類の提出をしてください。次回は1ヶ月後と考えていましたが、1月22だと休みが…書類提出は22日までに提出してください、次回は2月28日の13時10分にここで】と話し、この日は終わった。

計約5分で終わってしまったのだ。



コソコソと話す奴はニヤニヤとしていた。


なんて不愉快なんだろうか。

腸がどうかなってしまいそうだ。

叫び出しそうだ。


そして終わると同時に私の相談していた弁護士と外に出て話し合いをした。


警察の動きや、今回示談の詳細などを話し、急展開を迎えたことに弁護士は驚きを隠せず、今後私はどうしたら良いのかという話を具体的に話し、契約をすることに決め、法律事務所に向かい契約書類を用意してもらった。


そしてある程度話し、別れ、私は今日しかもう動けないだろうと判断し心療内科や、必要な書類を区役所へ取りに行く事にした。


1番面倒なのは役所での書類集めだった。簡単なことなのに人が多すぎて長時間待たされることにストレスを感じていた。


ただでさえ寝ておらずイラつきなど収まりきらず、約2週間ぶりに会った弁護士には【やつれましたね】と言われるくらい消耗していた。


なんとか書類を受け取り、残りは各被害にあっている封書など全て集め、通帳のコピーも必要だった。


一旦家に帰ると力尽きてしまい、各被害にあっている封書などもう見たくもないのにかき集めなければならない。コピーも面倒だと思い動けずこの日は終わり


寝ずに次の日にすることにした。


すると次の日、封書を開けてみると督促の電話や訴訟勧告の最後の通知が来ていた為、焦りすぐに必要書類を集め、ポストへと投函した。


帰ると相変わらず散らかり放題散らかり、虫も3種類ほど発生している部屋を見てうんざりしながらも、よく住んでられるなぁと他人事のように感じた。


全く片付ける気力も湧かないのだ。

不思議でならない。

ここまで部屋が汚くなったことは無い。

冬だと言うのにたくさんのコバエが舞い、よく分からないゲジゲジしたウジ虫と黒い小さな虫が湧いていた。

どこから発生したのだろうか。

やはりゴミだろうか。


そんなことを思いながらも力尽き眠りについてしまった。

自分の部屋のことなど誰にも見られないしどうでもいいやという気持ちが常に勝っていた。


廃人というのはこういう事なのだろうか。

未経験なのでわからないが、平気で眠れるということは、本当にどうでもいいんだろう。


この部屋が片付くのはいつであり、どんな気持ちに変わった時なのだろうか。


その時まではきっと変わらないだろうと日々思う自分がいた。


数日後、弁護士からメールが来て見ると

【督促の来ている各社へは受任通知を送ったので督促は止まるはず】だというメールだった。

【もしもそれでも止まらず来るようだったら連絡を下さい、警察の動きも教えてください】との事だった。


あれから警察の動きは全くない。

1月中にはと言っていたがもう1月は終わり、何も動かず終わってしまったのだ。


私は何度となく警察という、検察というものにとにかく疲れていた。期待もしていない。


もっと早く動いてくれていれば、奴が逃亡していた時期にうちに来ていたことも防犯カメラに残っていたのにと悔やまれてならない。


そして2月に入る。

これから私はどうなるのであろうか。

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