皇帝の反省日誌

綾瀬七重

プロローグ

私は最も愛する男に呪いをかけてから死んだ。


呪いの名前は「未練、後悔、罪悪感」

この呪いがこの世でどんな魔法よりも凶悪な呪いと知りつつも私は貴方を呪わずにはいられなかった。

愛している分だけ憎しみが私の中で大きくなってゆくのに耐えられなかった。

貴方のせいで枯れるほど涙を流してもう涙すら出なかったはずなのに別れ際にはまだ涙が出ることに不思議と笑みが出た。


ただその日はうっとりする程美しい満月が夜空に大きく顔を出して私たちを見下ろしていた。

あの日のように。

死に向かって落ちてゆく中で満月を見ながら最後に思った言葉。


さようなら、私の愛しい人。

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