第5話 4つ目のゲーム
3つ目の競りが終了し、破滅を迎えてしまった者が遂に現れた。
即決額と入札額の差額分を非落札者で分担するというルールにより、所有資産をオーバーしてしまったのだ。
「ざ、残念ですが……もう、打てる手段がありませんでした。お、オークション終了まで、無様に転がったままです……」
暴れ回った挙句、他の参加者に縛り上げられてしまった大男。取れる手段が尽きた彼は、自身の三角形の部屋で放心状態になっている。
恐らく彼がオークション中に再起することはないだろう。
その間にも、モニターを経由して最後の商品が発表されようとしていた。
「はぁい、最後のルールですよぉ~」
「ルール8は『参加者は5人。何らかの理由により途中で人数が減った場合、オークションは残りの参加者で最後まで執り行われる』ですッッ」
「と、ということで……か、彼を除いた4人で次のオークションが行われました」
「さて、4つ目の商品。ふひひっ……それは一体どんなモノであったと思いますかぁ~?」
4人の司会は自分が持っていたマイクを観客に向けて、会場を盛り上げようと煽っている。
前回のオークションの顛末を知っている観客は、ニヤニヤとした意地の悪い笑みを浮かべながら新参者の予想を聞いていた。
何しろ4つ目の商品を希望していたのは参加者5人の中でも最も若く、見た目は中学生ぐらいと思われる少女だったのだ。
そんな幼気な女の子がこんな怪しいオークションに参加し、希望する物とはいったい何なのかを予想するのはかなり難しい。
だが幼子と言えど、このオークションでここまで脱落せず、己の資産を吐き出し続けていたのだ。
きっとどこかの令嬢に違いない。頭の回転や人を見る目も恐らく良いだろう。そんな人物が、まさか縫いぐるみやケーキを所望するはずがない。
その答えを知っている者も、知らない者も。
少女が望んだ商品が出て来るのを、映像越しに固唾を飲んで見守っていた。
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