第二幕 亀だった俺
第22話 ゲームスタート
「もしもーし。
もしもーし。」
聞き慣れない声が聞こえる。
「聞こえますかー?
そろそろ起きて欲しいんですけれども…。」
僕、気絶してたのか…?
僕はゆっくりと目を開ける。
そこは四角い部屋の様だった。
白と黒のストライプが折り重なったデザインの壁や床、そして天井。
目が回りそうなデザインだ。
「おっ、やっと目を覚まされましたか。
ようこそ、デストライプへ!」
隣に亀がいる。
ああそうだ、僕はこの亀と話していた…。
「なんだ、ここは?」
「台本を読むかの様な台詞ですねぇ。
100点満点です!
合格。
あっ、申し遅れました。
私デストライプのゲームマスター、デストロイと申します。
いかにも、な名前ですがそれはご容赦ください。」
デストロイと名乗る人らしき者は顔に白い仮面をつけていた。彼の着ている黒いスーツには所々に白と黒のストライプがあしらわれている。
「あなたたち、もしかして叶えたい願いなんかありませんか?
よかったらゲームに参加されてはどうですか?」
亀の首が少し伸びる。
負けじと僕はこう言う。
「僕は日本一のアイドルになりたいんだ。」
「ほぉーそれはいいですね。
それで、そちらの亀さん、いいや、オオカミさんはいかがなさいますか?」
隣の亀は顔を一度甲羅に埋めてから顔を出した。
「かぐや姫と、もう一度、会いたい。」
「なるほどなるほど。
いいじゃないですか。
丁度いいゲームがありますよ。
挑戦致しますか?」
僕と亀は顔を見合わせた。
「…ゲーム?」
声が揃ってしまった。
「はい。
まあ簡単に言うとミッションをクリアするとお二人の願いが叶う、
といったところでしょうか。
さぁどうされますか?」
「やらせてください!」
亀は間髪入れずに答えてしまった。
「それでは浦島さん、あなたはどうされます?
ちなみにミッションの内容は浦島さんにはぴったりだと思われますねぇ。
さて、どうされます?」
僕にぴったりのミッションってなんなんだろう。
イケメングランプリで優勝する、とかか?
あぁ、なら簡単だ。
「やってやろうじゃないか。」
「よしでは決まりですね。
これから手続きに入りますのでこちらの枠の中にご移動お願いいたします。」
僕はまっすぐその枠の中に移動した。
亀は後ろからゆっくりついてきた。
「あなた方の体をスキャンさせていただきます。
動かないでくださいね。
3・2・1・はい完了致しました。
続いてあなた方に似合いそうなスキンの方をこちらで選ばせていただきます。
そうですね。
こちらと、こちら、あっいやこれかな?
はい、それでは決まりましたので手続きは以上となります。」
デストロイは慣れた手つきで円滑に手続きを進めてくれた。
「最後に、今からミッションの内容を説明いたします。
お二人は2032年の日本へとワープされます。
そこで、お二人はアイドルになっていただきます。」
「僕の本業だ。
何も心配はいらない。
僕についてきてくれ。」
なんだ、簡単なミッションじゃないか。
「しかし、今の日本は様々なアイドルグループがひしめく激戦区です。
さらに海外のアイドルを好きな日本の方々もいらっしゃるので売れることはなかなか易しいものではありません。
あっ、言い忘れました。
あなた方にはたくさんの人を魅了する日本一のアイドルになっていただくことがミッションとなります。」
辺りに煙が立ち込めてきた。
「えっ、ちょっと、え」
「それではご健闘を祈ります。
ゲーム、スタート。」
デストロイは深々とお辞儀をした。
「それだけ…っ!!」
デストロイの姿が煙に飲まれていった。
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