第7話 悲しみの中で

実りきった稲穂だけを遺されて僕は独りになってしまった。

農作物の育て方は教えてもらったこともあるもののとても自分の食べる分全てを作り切ることはできなかった。

どんなに汗水流して農作物に手間暇かけても、できるのはほんの少しの食べ物だけ。

なのに、父さんと母さんを奪われた悲しみは増していく。



憎しみは膨れ上がってくる。

人間を襲わなかった父さんと母さんがなぜ人間に殺されなければならないのだ。

僕には理解できなかった。

お互い譲歩し合う世界は作れなかったのだろうか。




いいや、違う。

父さんと母さんは間違っていたんだ。

この世に平等なんて存在しない。

喰うか喰われるか、それだけの世界。

人間なんかに喰われてたまるか!

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