第8話 同情
「なぜ人間は動物を殺してそれを食べて自分たちの生命を繋いでいて、
罪には問われないのに、
オオカミさんは人間を食べて罪人の様な扱いを受けるのでしょうか?
オオカミさんだって人間だって、命の重さは同じはず。
人間はなぜ殺生をしていいのでしょうか?
私は疑問です。」
「それってつまり同情だろ?
同情することで自分を認めるため。
エゴでしかない。」
「違います。それは、違う。
私の父と母は仕事で忙しく、一緒に過ごした記憶があまりありません。
その代わり、下界でおじいさんおばあさんに沢山の愛情をもらいました。
本物の愛を。
あなたも同じ様にたくさんの愛を受けて大切に育ちました。
でもそれが人間によって奪われた。
確かに同情、と言われてしまったらそうではないとは言い切れません。
ですがあなたは本当は沢山の愛を注がれ、
沢山の愛を注ぐことのできるオオカミさんなんです。
私はあなたにそのことを思い出して欲しくて。」
俺は黙っていることしかできなかった。
「オオカミさん、私の歌を聞いて思い出してください。」
そういうとかぐや姫は星の煌めく夜空に向かって歌を歌い始めた。
それは上手いという一言では表しきれない、透き通った、どこか懐かしい、心を鎮めてくれる歌声だった。
あぁもしかしてこの歌…
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