第3話
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初めて、光というものを知った
彼女はまさしく太陽と呼ばれるにふさわしいだろうと思わせるほど輝いていた
なら、私は何だろう
月……でもなく、星でもない
結局私は壊すことしか出来なかった
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「こんにちはー」
「二人とも、一緒に来たんだね」
「はい、ちょうど帰りに会ったので。それで、どうでした? 何かありました?」
「まあ一応あったけど…もう少し調べないと確証は持てないってところかな」
そうですか、と返事をしながらいつも通り手を洗ってお茶を入れる。
「さな。この顔に見覚えはある?」
「この人……!」
そう言いながら、携帯の画面を設楽に見せた。残念ながら角度的に俺には見えなかったが、反応を見るに設楽と面識のある人物だろう。
「そ、そうです。その人です! あの日に見たのと同じです」
「やっぱりね。彼女の魔法であるならば、岡部花音が消えたことにも納得が行く」
「どういう魔法なんですか?」
「そうだね…まあ分かりやすく言うと、夢を見せるんだ」
「夢、ですか?」
俺も画像を見せてもらいながら、思わず反応する。魔法による影響だとは想像していたけど、夢を見せているとは思いつかなった。
「さな。岡部花音の様子で他におかしかったこととか、無かった?」
「えっと…あ、たまにぼーっとしたりしてました。急に黙ったり」
「何か関係が?」
「うん。夢を見ている時って何も分からないままぼーっとしているだろう?それを利用して自分の世界…というか領域に引きずり込む。きっと岡部花音はその中にいるだろうし、今までの行方不明者が見つかってないのも何人かはその妖精の仕業だ」
「その領域って言う場所はどこにあるんですか!?」
今にも飛び出しそうな勢いで設楽が立ち上がり、社長に問いかける。
「――学校だよ。多分君たちが行っている学校」
「学校……ですか?」
しかも俺たちが行っている学校と来た。しばらく頭の整理が追いつかず、一瞬考える。
「いやいやいや、待ってください。学校でもしそんな大掛かりな魔法が使われているなら俺も気づきます」
「それが気づかないのさ。あいつ、逃げたり隠れたり騙すことは得意だから」
なら、俺たちはいつも敵の手の中に居た。ということになるのでは無いのか。そう考えるとゾッとした。
「多分私達にバレないように、少人数にだけ魔法をかけておびき寄せているんだろう。今回は運が悪かったね」
そう言ってお茶を飲み、設楽の方を見る。
「さな、とりあえず今日はもう帰った方がいい。もう暗くなってきた。完全に暗くなれば危険なものが出やすくなる」
窓を見ると、確かにオレンジ色より紫色の割合が多い気がする。ただでさえこっちに来るのに時間がかかるのでこれ以上長く居るのも良くないだろう。
「…分かりました。今日は、いえ。今日もありがとうございました」
設楽は荷物を持ち、社長に礼をすると部屋を出ていった。
「はあー。疲れた…」
「お疲れ様です、社長」
どんどんソファーの上で溶けていく社長を眺めながらお茶を片付ける。
「ほんとに。もっと全人類は私を労うべきだよ。こんなことしてるのきっと私達ぐらいだろうし」
全人類は言い過ぎではなかろうか。などと思いながら俺も向かい側の椅子に座る。その時にふと不安が頭をよぎる。
「……岡部は無事なんでしょうか」
「大丈夫だよ。確実にね。それに何か合ったとしても、その前に私達が助けに行くんだから」
何故かその言葉は誘拐した妖精をとても信頼しているように聞こえた。
「……」
「なんたって私は、スーパーパーフェクトレディだぜ? だからさ、そんな不安そうな顔をしないで。必ず助け出すとも」
正直、キメ顔で言った最初の謎の単語は理解出来なかった。でも社長は岡部を――きっと他の人たちも――助けるつもりなんだという事だけは、しっかりと分かった。
社長は上を寝転んだまま見上げ、
「一つ言うとね、私は昔あの妖精に会ったことがあるんだ。正直、その時のことをずっと引きずっている。だから、そろそろ決着をつけないと」
と、そう言った。それが、とても悲しそうに見えて。
だから――
「俺にも、その手伝いをさせてください」
俺という人間に出来ることなんて、限られている。それでも目の前にいる、尊敬する人の手伝いくらいは出来るはずだと。そう思ったのだ。
「もちろん。当たり前じゃないか」
相変わらず彼女は、綺麗な顔で俺に微笑んだ。
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