13 属性魔法

 強化魔法はエンテカとの修練によりかなりコツをつかむことができた。

サーシャが理系で理詰めの教え方だとするとエンテカはザ・体育会系で、まずは筋トレから始まったことには面食らった。


「まず強化する体がよわっちいとどうしようもねえだろうが」


とのこと。


実際、筋肉が増えて体を動かすとどのように筋肉が動き、どこに魔力を流すかが感覚的につかみやすくなった。

エンテカ本人はあまり自覚はないだろうが理にかなった習得方法だと思う。


運動、構築、強化をそれぞれある程度、習得したため、サーシャからは属性魔法を教えてもらう段階に入っていた。




「いい?属性魔法の基本からおさらいするわよ。

まず、集めた魔力で魔法式を構築し魔力を流すことで属性魔法は完成するわ。

基本となるのは、火、水、氷、土、風属性。それぞれの特性をまとめるわね」


火、氷、風:熱や空気の移動。運動魔法の使い手に適性あり。

水、土:水や土といった物質を構築する魔法。構築魔法に適性あり。

光、闇:強化魔法に適性あり。使用できるものが少ない。光は体の回復をする治療魔法。闇は相手に干渉する魔法。体を弱体化させたり脳を狂わせたり。使用すること自体が禁止されている。

ふむふむとノートを取る。

やはりサーシャの説明は分かりやすい。



「メインの基礎魔法に合わせた属性魔法を1つ、余裕があるなら2つ習得するのが一般的よ。何個も習得しようとするとどれも中途半端になるからね。

例えば私の得意な基礎魔法は”運動”。それに移動魔法に適性のある風属性魔法をメインに習得しているわ。ただ、近距離に対応するためサブに水属性魔法も習得しているの。

エンテカの場合だと得意な基礎魔法は”強化”。強化魔法の光、闇は習得が特殊だから、得意な近距離で戦うために火を選択しているわね。エンテカの場合、考えてっていうより男のロマンとかいいそうだけどね」


うん、それはすごくわかる。


「じゃあ、基礎魔法、属性魔法の関係。得意な距離についてまとめたからこれは覚えてかえってね」


こういって、以下のように表を書いてくれた。


〇基礎魔法

強化(近距離)、構築(中距離)、移動(遠距離)


相性:強化→構築→移動→強化


〇属性魔法


・火属性魔法(近距離)

 周囲の熱を上げる。熱の運動魔法。中距離になると魔法消費効率が悪く、近距離での使用がメイン。

殺傷力が高く攻撃的。


・氷属性魔法(中距離)

 周囲の熱を奪う。熱の移動魔法という点では本質的に火属性魔法と同じ。火属性魔法よりは中距離での使用が行いやすく広範囲に魔法を展開しやすい。


・風属性魔法(遠距離)

 大気の移動魔法。ものを切るなどの殺傷能力はないが、矢を飛ばす、相手との距離を取る、空を飛ぶなど応用範囲が広い。

 

・水属性魔法(遠~中距離)

 液体を作り出す構築魔法。水以外の液体も知識、魔法式次第では作成可能。相手の動きを鈍らせるなど補助的な使用が主。氷属性魔法との相性がいい。


・土属性魔法(近~中距離)

 鉱物を作り出す構築魔法。重く、硬く防御に優れる。やや発生が遅い。屋外では大量の土の利用が可能。


・光属性魔法(近距離)

  人の肉体の活性化を行う強化魔法。治癒に使用する。習得が難しい。自分を治療することに比べ他人を治療する方が圧倒的に難しく、人を治療できるレベルの使い手は希少。


・闇属性魔法(近距離)

  人の体や脳を操作する逆強化魔法。拷問や洗脳に使われたり、傷の悪化などを行う。非人道的であり禁止されているため、使い手は希少。


・契約魔法(近~遠距離 契約精霊次第)

  精霊と契約し、必要な時に魔法を使ってくれる。精霊の強さ次第で変化する。自分の使えない属性の補強ができることや連携ができることが最大の強み。


さて。

強化魔法の光、闇はそもそも強化系が苦手なのでメインにするのは難しいか。

闇というのはあこがれだけどね。

同じ理由で、火、氷、風も運動魔法でメインにはなりえない。

そうすると俺の構築魔法が得意とする土、水が残ってくる。

水属性魔法は補助的な役割が多いこととエンテカ戦で近距離が苦手なことが分かった訳だから、近距離~中距離をカバーできる土属性魔法がベストか。

ただ、土属性魔法ってなんか華がないんだよねえ。

メインを土魔法にするとしたら、サブ属性をどうするか。

サブ属性は自分の得意属性じゃなくてもよくなるので一気に選択肢が広がる。

闇属性魔法は使える人がいないので無理だが、

回復ができる光属性魔法。距離を取ることができる風、水属性魔法。

中距離で広範囲の制圧ができる氷属性魔法。

近距離で圧倒的な攻撃力をもつ火属性魔法。

どれも魅力的で迷ってしまう。

自分では決められず各使い手達に話を聞くことにした。

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