閑話 ミカエルとデート
宗一郎たちと一緒に訓練をした翌日、今日は土曜日ということで久しぶりにみんな各々自由に過ごそうということになった。
透も昨日は閻魔を呼び出して精神的に消耗してる感じだったから、このタイミングで休みを取った方がいいだろう。
ちなみに昨日はあの後総当たりマッチをして久しぶりにみんなとアウラ込みで戦った。
当然のように優勝は宗一郎とアーサーの組み合わせだった。
次に朱音、三位に俺になった。
俺もいい線まで行ったけど、単純に力負けした感じだった。
いくらミカエルが強いと言っても俺が弱ければそれも意味がないみたい。みんな全力ではないとはいえ、久しぶりにアウラとのタッグ戦ができたのですごい楽しかった。
ちなみに透は3戦目を迎えようとした時点で閻魔の力に耐えきれずにギブアップとなった。
最初はアウラを具現化させ続けるのが難しいので、むしろよくやった方だと思う。
本人はすごく悔しがっていたけど、あの調子ならそのうち必ず閻魔とうまくやっていけるはずだ。
「蒼さま。こっちとこっちだとどっちがいいですか?」
「ん〜。難しいなぁ……」
俺はミカエルが手に持つ二着の服を見比べて悩んでいた。
昨日はミカエルには非常にお世話になったので、何かお返しがしたいというと今日買い物に付き合って欲しいと言われたのでこうして二人で買い物に来ているのだ。
行くときにティアたちが暴動を起こしそうなほどゴネていたけど、今日はミカエルの日だから大人しく家で留守番してもらった。
帰りに何かお土産を買って帰ったほうがよさそうだね……
「むぅ……蒼さま今はティア様たちのことは置いといてください」
「あはは、ごめんごめん」
さすが女の子。俺の邪念は全てお見通しらしい。
確かに今はミカエルと遊びに来てるんだし、少し失礼だったかもしれない。
「蒼さまはどんな服の女の子が好きなんですか?」
「んー。その子に似合えば何でもいいっていうのが答えだけど……ミカエルだと髪の毛が銀色だから、白のそっちの服がいいと思うよ」
「ありがとうございます。じゃあこっち買おうかな……」
「それがいいと思う。あ、こっちのベレー帽とこっちの服でボーイッシュ系はどう?」
「いいですね。ちょっと試着してきます」
「うん。楽しみにしてる」
最初の頃は女の子とこう言った場所に来ても全肯定ロボットになるしかなかったけど、最近は自分でも調べて少しはわかるようになってきた。
ファッションとは面白いもので、一度興味を持ってしまうと買い物が苦にならなくなるのだ。
ミカエルもそうだが、周りの女の子はみんなモデルとして最上級なので、服を選ぶ側はすごい楽しい。
「蒼さま。どうでしょうか?」
「めっちゃ似合ってるよ! とても可愛いね」
「あ、ありがとうございます」
ミカエルはお姉さん系だと思ってたけど、ボーイッシュ系でもとても似合っている。
男ウケがいいのかは知らないけど、俺はとても好きなジャンルである。
「せっかくなので蒼さまの服も買いましょう」
「じゃあ今度はミカエルに選んでもらおうかな」
「……私の好みの服でもいいですか?」
「もちろん。ミカエルの好きな服を取ってきて」
俺もたまに自分で服を買いに来たりするけど、相手に服を選んでもらう機会はあまり多くないので、少し楽しみである。
「これでお願いします」
「おっけー。試着してくるね」
「はい。待ってますね」
ミカエルが選んできてくれたのは、黒を基調としたコーデで、下は少しゆとりのある黒のパンツで、上はゆったりとした灰色のセーターである。
アクセサリーはネックレスと指輪を選んでくれた。
まだ春なので全然季節感的にも問題なさそうだ。
「ど、どうかな?」
「……っ! と、とても似合ってます!」
「ありがとう。ちょっと大人っぽいね」
「S系彼氏感がすごいです」
「……どこでそんな言葉覚えたの?」
いやまぁ確かにちょっとそんな感じはするけどさ。
最近制服しか着てなかったから、私服は久しぶりである。さっきまで着てる服もいいけど、せっかくミカエルが選んでくれたんだし、今日はこの服でいようかな。
服の生地もとてもいいし、服自体もすごい緩いの着心地もすごくいい。値段は少し高いけど、まぁたくさんもらってるのでたいして気にすることでもない。
「せっかくだし、このままで行こうよ。お会計してくるね」
「ありがとうございます。その間に着替えてきますね」
ミカエルは服についている値札を切ってもらって、試着室へと向かっていった。
俺もパパッとお会計をすまして同じように値札を切ってもらって、着替えることにする。
ミカエルがボーイッシュ、俺はちょっと大人めのミカエルの言葉を借りればS系彼氏服。
どちらもとても似合っていて、まぁ目立たないわけがなかった。
普段制服を着ていることが多い俺が私服でいる時点でそこそこ目立ってるし、知り合いにはすごい写真を撮られた。
しかも隣に朱音たちではない知らない女性を連れているということで、Aクラスの友達には大層驚かれた。ちなみに、最近仲良くしてる男子にはどつかれた。
「蒼さまは人気者ですね」
「半分以上はミカエル目当てだと思うけどね」
「そうでしょうか? なんだかんだ、みんな蒼さまと話せて嬉しそうでしたよ?」
「みんな話すといい人ばっかりだしね。俺も楽しい学園生活を送れているよ」
最初はみんな俺に敵視しかしてなかったけど、最近はその誤解も解けてきてAクラスとBクラスの人とはほとんど仲良くなれていると思う。
ファーストコンタクトが悪くても、意外と何とかなるものである。
多分要所要所でしっかりとした実力を見せているから、みんなも認めてくれてるのだろう。
「それもあると思いますが、結局は蒼さまの人の良さがみんなを惹きつけているんですよ?」
「それは過大評価じゃない? ちょっと恥ずかしいな……」
「そんなことないですよ。だから、私もティア様たちも、朱音様たちもみんな蒼さまのことが好きなんです」
「ありがとう。ミカエルにそう言ってもらえると嬉しいよ」
俺にとってはお姉さんのようなミカエルに褒められると、素直に嬉しい。
早くに両親を亡くした俺からしたら、彼女たちと妹が俺の心の支えなんだ。これからも、彼女たちに誇れる俺であれるように頑張ろう。
「ところで蒼さま。さっきからずっとランジェリーショップを凝視されてますけど、行きたいんですか?」
「え、えっと……」
「ふふっ、蒼さまも男の子ですね。でも、今は目立つと思うので、また今度にしましょう」
「はい……」
うん。誰に誇れる誰であるんだっけ?
やっぱり、欲望には勝てない蒼くんなのでありました。
ちなみに、その後は二人でカラオケに行ったり、学園のデートスポットへ行ったりといろんなことをして充実した一日を過ごせるのであった。
帰ってからティアたちの機嫌を戻すのに三時間以上かかったのは言うまでもない。
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