第8話 適性検査

 俺たちが教室に戻ってくると、すぐに次の適性検査のための話を始めてくれた。

 どこか呆れている様子だったけど、もともと俺たちに振ってくる葛木先生が悪い。あと、四葉学園長もひどい。


「さて、次は適性検査になるけど、これはAクラス、Bクラスの生徒たちは強制はしない。人によっては北小路くんと同じように周囲の人間に知られたくないって子もいるからな」


 逆を言えばCクラス以降の生徒は強制的に適性検査を受けなければいけないということになる。

 贈り物や契約などは戦術に直結してくるため、学園にも知られたくないという生徒は多いと思うが、まぁ学園の考えもわからないことはない。


 そもそも今の段階で贈り物を所持している生徒は少ないだろうし、契約も機会がないと行えないためそもそもまだ何もない人が多い。

 強いて言えば魔力保有量がわかるくらいだが、これは学園に知られてもさほど問題がないため、基本的にこの適性検査を断るメリットはない。

 俺たちは別だけどね。


「適性検査を受けてくれると学園側からアドバイスができたり、自分でも知らなかった贈り物を持ってる可能性もあるからみんなもできれば受けてほしい。十傑の生徒たちは絶対に拒否すると思うから、特別に装置を貸し出すよ」


 その他の生徒も非公開を希望する人は担任と学園長以外には情報を公開することはないらしい。

 そこまで言われると、俺たちも断る理由がないためありがたく使わせてもらおうと思う。


 きっと俺たち全員魔力以外何も変わってないと思うけど、適性検査も久しぶりなのでせっかくなのでこの機会で一度やっておいてもいいのかもしれない。


「君たちは幸運だよ。Cクラス以降の生徒たちはみんな情報公開の義務があるから贈り物とか魔力量とか全て赤裸々さ」


「その情報ってどこで公開されるんですか?」


「後でもう一度説明するけど、みんなには学生証や財布の代わりにもなる携帯端末を支給する。そこに全校生徒の情報が記載されてるんだ」


 話を聞いてみると、Fクラス以降の生徒は場合によってはプライベートな情報すらも公開されてしまう可能性があるというのだから、本当にこの学園の実力主義は徹底されてると思う。

 恋人の有無や友好関係なんてものも載せられるなんてたまったものではない。


 きっと今頃Fクラス以降の生徒は阿鼻叫喚としていることだろう。


 逆に、Aクラスにいるみんなは絶対にこのクラスを維持しなければともう一度気持ちを引き締めているみたいだった。


「まぁ、心配しなくても今はまだその心配もないからそこまで気にしなくていいよ。それよりも、贈り物と契約についておさらいしておこう。北小路くん。説明お願いできるかな?」


「贈り物はその名の通り、魔力が発現した頃から僕たちも近くできるようになった『神』や『精霊』なる存在者によって授けられる異能です。これによって僕たち人間は魔法とは違う異能力を使用することができ、戦いの幅も大きく広がります」


 贈り物は先天的に神様に授けられるものと好転的に仲良くなって授けられる場合があって大体比率的には前者が7で後者が3くらいで大体は先天的なもので決定される。

 ちなみに、贈り物の所持率は全人口の約3割程度であり、贈り物を所持しているだけで軍からスカウトされる可能性がグッと上がったりする。


 贈り物は一番弱いものでも持っていない人とは天と地との差があるため、今所持していないAクラスの人はなんとしてでもこの一年の間でゲットしたいところである。


「そして、先ほど出てきた『神』や『精霊』その他にも様々な人ならざるものである『アウラ』と契約をすることができれば、さらに強大な力を得られるわけです。契約者は契約対象によってE級からS級、そして特級に分類され、今の軍で活躍されている魔法師たちはみんなC級以上の契約者というわけです」


「そういうこと。契約すると具現化、武装化、憑依化の三種類あるけど、これはアウラの授業の時に説明することにしよう。それじゃあ、検査希望者は別室に移動するから僕についてきてくれ。十傑はここに待機で。後で機材を運ばせるよ」


 今の話を聞いて、Aクラスは全員適性検査を受けることに決めたようで、俺たち十傑以外は別室に移動となった。

 今日はこの適性検査が終われば解散のはずなので、次に彼らと会うのは明日になるだろう。


 さっき葛木先生が言ってた端末も機材と一緒に持ってきてくれるらしいので、俺たちは適性検査を受ける受けないにかかわらず、まだこの部屋に残ってないといけないらしい。


「それにしてもこの学園。思ってる以上に弱者に厳しいところだね」


「ねー。プライベートまで公開されるとかありえないんだけど。競争を煽るためにはいい方法だけど、ちょっと容赦がないよね」


「そうか? 俺は面白いシステムだと思ったけどな」


「実際に弱肉強食なのはこの学園に限った話じゃないからね。高校生のうちに社会の縮図を体験できていいじゃん」


 佳奈と琴葉はさっきの話を聞いてかなり引いているようだった。

 一方で、龍之介と湊は意外にもこの学園のシステムに肯定的だった。


 まぁ、気持ちはわかるけどね。


 結局日本に限らず今の世界は弱肉強食だ。弱い者は虐げられ、強い者だけが甘い蜜を吸える。


 学園のやり方に全面的に賛同はできないけど、俺もこれは必要なことだと思っている。俺たちは優遇されてる側だから言えることだけどね。


 そんなこんなで、俺たちはみんなで今日の出来事について色々と話をしていると、係員の人がやってきて計測器具と携帯端末を一つずつ渡してくれた。

 携帯端末の方は後で確認することにして、今は適性検査の方を先に終わらせる。

 入学式の時に隣にいためっちゃエロい女の人も俺たちの適性検査を見たがってたけど、ごめんこれだけは秘密にさせてほしい。


「ダメ? もし見せてくれたら……」


 だ、だめだ。これだけは見せられないっ!


 でも、ちょっとだけなら……


「ダメに決まってるでしょ。姫宮さんも、あまりこいつを揶揄わないで。一応タブーなんだから」


「ぶー。ま、仕方ないわね」


 姫宮さんが意外に簡単に引き下がってくれたので助か……ってないね。うん。朱音と琴葉と佳奈がすごい睨んでくる。

 

「ごめんなさい」


「蒼くん。あんまり調子に乗っちゃダメだよ」


「はーい」


 佳奈に注意されると何故か逆らうことができないんだよなー。

 お姉ちゃん感がして、無性に怒られると正座して謝りたくなってしまう。


「それより、さっさと検査を終わらせようぜ。まだお昼だし、俺街エリアの方に行ってみたいんだよな」


「賛成。そこでお昼ご飯食べようよ。私、洋服みたい!」


「俺も買い物したかったし、そうしようか」


 全員反対意見はないということで、さっさと先に適性検査を終わらせよう。


 この検査器具は特殊な紙でできており、使い捨てなので自分で確認した後は燃やせば情報漏洩の心配もいらない。

 使用方法は紙に自分の魔力を流すだけなので非常に簡単に検査できる。


 そういうわけで俺は魔力を流すと、綺麗な魔法陣が紙の上に現れると徐々に情報が浮かび上がってきた。


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一条 蒼 男 15歳


魔力 測定不能


ー贈り物ー


 万物創造

詳細 Unknown


 絶対破壊

詳細 Unknown


 森羅万象

詳細 Unknown


 天才複合

詳細 Unknown


 万物吸収

詳細 Unknown 


ーアウラー


名前 ティアマト(error)

詳細 Unknown


名前 ロキ(error)

詳細 Unknown


名前 アーニャ(error)

詳細 Unknown


名前 ミカエル(厄災級第5位)

詳細 Unknown


名前 リオン(厄災級第1位)

詳細 Unknown


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 うん。いつも通りやっぱりこれ意味ないね。

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