第14話 冒険の始まり
「皆、待たせたなっ!」
謎の音が響いてからしばらくすると、ようやくネロが部屋へと入ってきた。
「おう、まーたレイチェルにあれ喰らったのか?」
そんなネロを小馬鹿にするような口調で笑うレイヴ。
「な…っ、し、仕方ないだろ、起きれないんだから.......」
「んだとしても少しは起きれるようにしろよ、これだから子供は.......」
「な…っ!?僕を子供呼ばわりしたな!?」
「あ、あはは.......」❪さっきの爆音何だったんだろ…❫
レイヴとネロが喧嘩❪?❫してる中、俺はさっきの爆音の正体について考えていた。でもまぁ、まさかレイチェルの魔法では無いだろう。.....多分だけど。
「お前等その辺にしておけ」
レジェルはいつの間にか揉み合っていた2人の間に、そのどちらの体にもギリギリ当たらない場所で剣を振り翳した。
「うぉ…っ、わ、悪かったレジェル......僕頑張って起きるからさ」
その瞬間、ネロは人が変わったように喧嘩を辞める。レジェルの剣、良く見れば周りに黒い煙みたいな湯気みたいななにかが上がっている。
「皆さん揃いましたのですね?」
部屋に戻ってきていたレイチェルは人数を確認してからネロに視線を移した。
「それでは出発する前にルートの確認です!ネロさん、よろしくお願いいたしますっ」
レイチェルはポケットから地図を取り出し、テーブルの上に置いた。
「あぁ、ルートは勿論サルヴァへ一直線だ!.......って言いたいけどここからサルヴァまではイサエラを挟むだけで辿り着けるじゃないか、なんかすぐ終わりそうだなぁ?」
「確かにここから元凶までは遠くない。この数年がかりの騒動の全てがそこだけで収まる
のならな。それに.......」
さっきまでの空気は消え、一気に緊迫した空気へと変わる中、レジェルは続けた。
「サルヴァの国境にはサルヴァ民しか通れない魔法結界が張られている。この魔法結界を攻略しない限りどうにもならないだろう。その件もあるが、何か妙だ.......他にも少し用があってな、イサエラへ行き、ここへ向かいたい」
レジェルはイサエラからサルヴァのある西方向では無く、渓谷地帯である北へ指を滑らせる。
「別に良いけど、そんな場所に何の用があるんだ?」
「リィナを解呪できる可能性がある」
彼奴がまだ生きてたらな.......と、レジェルは付け加えた。
「本当か!?じゃあそれで決まりだな」
ネロはそう言い、全員を見渡す。
「さぁ.......言った通りだ、まずはイサエラへ向かうぞ!皆、武器の準備は出来たか?」
「おうよ、俺の斧はいつでも戦えるぜ」
「チェーンソー.......今日も元気」
「魔法は今日も絶好調なのですっ♪多分っ」
「うん.......俺も大丈夫」
俺は壁に立て掛けてあったハルバートを手に取る。
「大丈夫.......だけど相変わらず重い…」
やはり重すぎてまともに装備する事が出来ない…。
「ん.......そうか?」
俺の様子を見ていたネロはそう言い、片手で俺のハルバードを手に持った。
「んー、まぁこんなもんじゃんか?」
ネロはそう言って俺にそれを投げ渡した。ずし…っと、俺の腕にハルバードの鉄の重みが乗しかかる。
「お、重いって.......!」
そんな俺をよそに、皆は次々と宿舎の外へ出る。遅れたら大変だ。
「ちょっと待って…」
結局俺はハルバードを引き摺りながら皆の最後尾に付くはめになる.......。
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