第25話 胴元神ダーワルの日常業務2

 ダーワルはいつものように賭けの対象の進行をヤーテーバー神の作った動画で確認していた。

「次は……これか」

 ちょうどバーソンの報告動画だ。

 映像ではバーソンが王都へ来たこと、楽器を探すことになったこと等が示されていく。そして法王、公爵、商人を容疑者にしたところまで。

「ダーワル様を奉る神殿の者が容疑者となっているようです」従者が言う。

「ふん」ダーワルは大した関心はない様子だ。「なんでこんなことに関わっているのか理解できないね」

「この国の王家は娯楽に否定的なようです。ダーワル様の教えにある享楽を否定されることが我慢ならないようです」

 ダーワルは首を振った。「好きにしたらいいよ。人のことにそんなに頑張るかねぇ」

「自らの享楽を優先せよ。それがダーワル様の教え」

 従者は唱えるように言う。

「人間にはその意味が正しく理解できぬのでしょう」

「そもそも教えを説いているのでもないしね。私がそのように生きるということに過ぎぬ。それにしても今回の映像は質が悪いな。今のような点が明らかでない。分量も少ないのではないか?」

 従者は記録を確認した。「規定の分量はございますが平均以下ですな。それに気づかれるとはさすがでございます」

「手を抜かせてはならぬ。これでは客の満足は得られぬぞ。王家の統制、法王の反旗といった情報をしっかりと盛り込ませるのだ」

「承りました。すぐに修正させます」

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