幽閉

第12話「命がけでお前を救い出す…」

ここか…

私は船着き場に止めた船から降（お）り立った

ここにくみがいるはずだ

スマホのGPS発信によると間違いない

くみ…

私の可愛い一人娘…

お前に何があったんだ…？

どうしてこんな島にお前がいる

ここは個人名義の島だ

バカンスで滞在しているのならいい

お前は奔放（ほんぽう）すぎる

親の私達が悪いのか…

私は刑事の仕事が忙しく

お前が子供の頃から

ほとんど構（かま）ってやれなかった

すまない…

お前は寂（さび）しかったんだろう

男に愛を求めるようになった

信じて愛した男に捨てられて

お前は変わってしまった

お前は母さん譲（ゆず）りの自分の美貌（びぼう）を武器に

男を渡り歩いた

自分の身体を売り…

男に貢（みつ）がせて金を手にする

そんなお前を見て

母さんは心労（しんろう）で倒れたんだぞ

だが、私はお前を責（せ）められない

責（せ）める資格がない

全て私の責任だ

お前が消息を絶（た）って二週間になる

今までにも数日帰らないことはあった

だが今回は違う…

私はたたきあげの刑事だ

事件の匂（にお）いがする

刑事としての俺（おれ）の勘（かん）が告（つ）げている

お前は事件に巻き込まれたんだな

そうなら父さんが助けてやる

必ずお前を救い出す…

お前は父さんの命なんだ

私たち夫婦の宝物だ

助けてやるからな

待っていろ

しかし…

この島へ乗り込むのは

不法侵入だ

証拠がなければ警察は動けない

私は辞表を提出してきた

それに…

ヤクザから没収（ぼっしゅう）した拳銃（けんじゅう）…

こいつを持ってきた

使う事にならなければいいが…

万一の時は覚悟している

だが…　そんな事は許されるはずがない

くみ…

お前を助けられたら

父さんは刑事を捨てるよ

ただの男になる

お前が父親と認めてくれるなら

やり直せないか…？

母さんと三人で…

そのためなら父さんは…

命がけでお前を救い出す

安心しろ、愛する娘よ

父さんが来たからな…

待っていろ…

くみ…