第13話 急成長
3028――それが僕に残されたスキルポイント。
もし今割り振ってある分を振りなおすと、さらに36ポイント加算されて3064ポイント。
これをすべて極振りすれば……!
「だけど、問題はどのスキルツリーに極振りするか、だ」
それにはスキルツリーをもう一度確認する必要がある。
「シス、頼むよ。スキルツリー画面、オープン」
《了承。スキルツリー画面・オープン》
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―――――――スキルツリー一覧――――――――
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炎のスキルツリー【ロック解除済】
雷のスキルツリー【ロック解除済】
氷のスキルツリー【ロック解除済】
風のスキルツリー【ロックされています】施錠レベル5
土のスキルツリー【ロックされています】施錠レベル5
毒のスキルツリー【ロックされています】施錠レベル7
霧のスキルツリー【ロックされています】施錠レベル9
・
・
・
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―――――――スキルツリー一覧――――――――
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「今の僕――レベル10で開錠できるのは霧のスキルツリーまでか……。よし、全部を開錠だ!」
《了解しました》
「《
《風のスキルツリー~霧のスキルツリーまでの開錠を確認》
「よし、これで選択しは7つだ。どれが一番強いんだろう……」
全部で試していってもいいけれど……それはさすがに気が引ける。
そう何回も死ぬのはごめんだ。
できれば今回で仕留めたい。
普通に考えれば一番下にある《霧のスキルツリー》が強そうだけど……。
下にあるスキルツリーほど、そのスキルの会得に必要なスキルポイントも多くなる。
だから、それほど強力なスキルまでたどり着けないだろう。
「やっぱり……これかな? うん、これだ」
いろいろ考えた結果、僕が選んだのは《風のスキルツリー》だ。
クロウヘッドは空を自在に飛び回る。
だから、魔法を直撃させること自体が難しい。
でも、風の魔法なら、それを妨害できるだろうと思ったのだ。
「3064ポイントを全部、風のスキルツリーに極振りだ!」
《了承しました》
極振りによって僕が得たスキルは以下の通り。
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●風のスキルツリー
・Lv1ウィンド
・Lv1エアーブリーズ
・Lv2ウィンドブロウズ
・Lv2エアースラッシュ
・Lv3エアゲイル
・Lv3トルネ
・Lv4エアガスト
・Lv4トルネイダス
・Lv5エアガストロング
・Lv5ガストーム
―――――――――――――――――――――――
「よし! これだけあれば対抗できるだろう」
まさか全振りでLv5まで手に入るとは思わなかった。
この僕が、そんな超上級魔法を扱える日がくるなんて。
とにかく手札は整った。
あとはアイツをぶちのめすだけだ……!
「まってろよ……。これまでの借りをきっちり返してやる……!」
◇
これで三回目の突撃。
リコのところまでたどり着き、同じ手順を繰り返す。
「リコ、逃げて……!」
「見つけましたよ。クエッケッケッケ!」
出たなクロウヘッド……。
だけど今度は僕にも手札がある。
まずはLv3から試してみよう。
どのくらいの威力が出るのかわからないし、まだリコが十分に距離を置いてないから危険かもしれない。
「《Lv3エアゲイル》!」
――ズオオオォォォ!
強烈な突風が、クロウヘッドを襲う。
「クケッ!? クケケ!」
空中でバランスを崩し、クロウヘッドは高度を下げる。
「ほう、レベル3の風魔法ですか……。さすが魔王の器として選ばれるだけはある。優秀な魔術師となったでしょうねェ……。ですがあなたの命はここで終わりでスゥ! クケケケケケ! その身体を魔王様によこしなさい!」
クロウヘッドがまた、前回までと同様に、僕に向かってくる。
もっと――強力な魔法が必要だ。
「《Lv4トルネイダス》――!」
僕は向かってくるクロウヘッドの頭めがけて、魔法で迎え撃つ。
クロウヘッドへと向けた右手のひらから、強烈な波動が放たれる。
――グルグルグルグル!
とてつもない回転速度で、その波動がクロウヘッドの身体を引き裂く。
まるで、うずしおの中に巻き込まれたように、クロウヘッドの身体が回転する。
「ぐげげげげげげ!? グギョ!? ぐきょきょきょきょ!?」
そして風の刃で、クロウヘッドの肉体がズタズタに切り裂かれる。
「よし……! 決まった!」
これまでにないほどのダメージが入った……と思う。
クロウヘッドは勢いを失い、地面に着地。
「クキキキキ! やりますねぇ……。正直、ここまでやるとは思いませんでしたよ」
くそ……まだ、生きている!?
さすがは魔族、だが、どこまでしぶといんだ……!?
「私の本当の力を見せてあげましょう……! くけけっけけけけけけけけ!!!!」
クロウヘッドは、いつも以上に変な奇声をあげ、発狂しだした。
――ずぼ。
――ずぼぼぼぼぼぼ。
「さあ、これが私の姿です!!」
クロウヘッドの頭から、巨大な手足が生え、完全に人間の姿からかけ離れた形状になる。
そう、まるで熊の身体にカラスの頭がくっついたような、そんな姿。
「これが……魔族……!」
さっきまで、すっかりその異形に慣れていた僕だったが、これは――。
僕は再び、身の毛がよだつのを感じた。
最初にこいつと会ったときのような……。
「さあ、覚悟するのです!」
なるほど、奥の手を隠していたというわけか。
クロウヘッドはズシン、ズシンと大きな足音をたてて、僕に近づいてくる。
だが、切り札を残しているのは僕も同じ。
そろそろリコは十分に離れただろうか……。
「なにをぼーっとしているのです!? もっと私を驚かせなさい! 楽しませなさい! 魔王様復活の余興となるのですぅううううう!」
――【そうか、そこまで言うのなら……見せてやろう】
「う……!?」
僕の心の奥の扉から、また
「こ、これは……!? 魔王さまの魔力!? 魔王様、そこにおられるのですね!? 私です。クロウヘッドはここにございます! ああ……はやくお会いしたい!」
クロウヘッドは急に立ち止まり、恍惚とした顔で虚空を拝みだす。
まさか、僕の中に
――スッ。
僕の右腕が、
そうか、《僕の心の怪物》よ――力を貸してくれるんだな?
自分の中で、今まで以上の強大な魔力が練られるのを感じる。
これなら、間違いなくこいつをぶち壊せるだろう。
僕は――。
――【俺は】
唱えた。
「「《Lv5エアガストロング》――――!!!!」」
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