第7話 ステータス
祠を後にし、夕方になり、ようやく村までたどり着く。
僕たちが村に戻ると、いきなり大人たちに怒鳴られた。
「オイこらトン! てめぇなに考えてやがる!」
「えぇ……!? これはどういうことです……!?」
僕たちのまわりを、大人たちが取り囲む。
「どうして……? トンはなにも悪いことしてないよ!」
「リコちゃんは黙っとれ! こいつはとにかく酷いやつなんじゃ!」
僕は目でリコに、安心して、と合図する。
これはなにかの策略に違いない。
辺りをキョロキョロ見渡すと、大人たちの後ろに、アッケネーアが立っているのが見えた。
なるほど、あいつめ……浅知恵を働かせたな?
「話は全部アッケネーアから聞いたぞ! トン、お前はアッケネーアの《剣聖》の能力に嫉妬して、神聖なる成人の試練を邪魔したそうじゃないか!」
「えぇ……なんでそうなるのかなぁ……?」
邪魔しようとしてきたのはアッケネーアの方なんだけどなぁ。
僕はそれを返り討ちにしただけだ。
「なにか卑怯な罠でも使ったんだろ! そうじゃなきゃ《剣聖》のアッケネーアが試練を終えられないはずがない! 剣聖の剣も失ったみたいだし、とんでもないばち当たりな行為だ! けしからん!」
「そんな……!」
アッケネーアはわざとらしく泣いて、大人たちにアピールする。
「うぇええん! トンが! ぼくの剣を折ったんだぁ! それに、試練を続けられないように、脅されたんだぁ! 魔物をけしかけて、僕を殺そうとした! あいつは魔物使いの悪魔だぁ! 魔王の化身だぁ!」
なんて、子供のような声でえんえん喚き散らす。
まったくみっともないマネを……。
それを信じる大人たちもどうかと思うけど……。
まあ、村長の息子だしね。
それに、僕はもともと嫌われてる。
「そういうことだ、トン。観念しろ!」
「え、ちょっと……!」
僕は大人たちに腕を押さえつけられてしまう。
そのまま縄で縛られる。
これは……投獄コースかなぁ?
「トン! ねえ誰かトンを助けてよ!」
リコが必死に訴えるも、大人たちは村長に遠慮して、誰もが目を背け、知らんふりだ。
この村で村長さん一家に逆らうというのがどういうことか、よくわかっている。
僕もリコのことが心配だ。
リコと離れ離れになるのは死ぬほど嫌だけど……。
それよりリコの身を護ろう。
「大丈夫だから、僕はいいから! 待ってて!」
そうリコにだけわかるような合図を送る。
僕とリコは通じ合ってるから、それで十分だった。
リコはそれっきり、叫ばなくなった。
よし、これでリコが責任を追及されることはないだろう。
僕と一緒にいたことで、リコに不利があってはいけないからね。
それなら僕だけが犠牲になればいい。
「トン……」
リコの寂しそうな顔が忘れられない。
僕は必ず戻ると、心に誓った。
――そして僕は村に備えられてある牢屋に入れられた。
「ここでしばらく反省しとれ! この恩知らずのクズが! 村長さんに寄生するウジ虫め!」
「……うっ!」
牢屋の壁に叩きつけられ、その後、鉄の鍵が固く閉められた。
まあ、僕のスキルでいつでも開けられるんだけどね……。
さっき得たステータス確認のパッシブスキル――そのおかげで、僕は自分がレベルアップしていることに気づいた。
ダンジョンで得たアクセサリアイテム【挑み続ける者】の効果のおかげで、会得経験値が5倍になっていたんだ。
そのおかげで、僕はアッケネーアとの戦闘でレベルアップしていたらしい。
現在の僕のレベルは3だ。
これなら十分に鍵を開けられる。
「でもまぁ、もう少しここにいるか……少なくとも、今夜くらいは」
僕がここですぐに出ていっても、事態を余計ややこしくするだけだ。
どうせみんなは村長さんを恐れて、アッケネーアに言うことしかきかないだろうしね。
それならば、形だけでも僕が反省したことにしたほうが、丸く収まる。
リコのことは心配だけどダンジョンで手に入れたアイテム【生命の宝珠】が護ってくれるだろう。
レア度10の特級装飾品だ。
滅多なことがない限り、リコは無事でいられる。
「それにしても、牢屋の中じゃ暇だなぁ」
僕は改めて自分のステータスを確認してみることにした。
これで少しは暇が潰せるだろう。
「ステータスオープン!」
――――――――――――――――――――――――
基本情報
【名前】トン・デモンズ
【レベル】3
ステータス
【体力】 50256
【力】 1576
【防御】 2035
【アジリティ】 623
【運】 886
【魔力】 2344
【生命力】 3765
スキル
【固有スキル】《
【固有スキルレベル】3(レベルと連動)
【所有スキルツリー】0
【スキルポイント余り】36
【所有パッシブスキル】
・ステータス可視化
・アイテムボックス
・基礎能力増強
・聖母の加護
・ナビゲーションシステムオンライン
・第六感
――――――――――――――――――――――――
そこで僕はあることに気づいた。
「あれ……? この、スキルポイントってなんだろう?」
もしかしたら、これはとんでもないものなのかもしれない――。
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