第6話 いにしえの祠
僕とリコは森の中をどんどん進む。
ダンジョンを抜け、ついに森の最奥へと到達する。
そこには試練の完了を示す、祠があった。
「ここが目的の祠だね」
「すごく古くて、神秘的な祠ね……」
祠の前には、あらかじめ大人たちが用意した目印が置いてあって、それを持って帰れば試練クリアとなる。
僕たちはそれに手を伸ばす。
すると、祠が妙な形をしていることに、リコが気づいた。
「ねえ、これって……鍵穴……じゃないかな?」
「ほんとだ……」
祠にはなにやら鍵穴のようなものがあり、そこには文字が彫られていた。
古代の文字のようで、何と書いてあるかまではわからない。
「開けてみよう……」
「うん、そうね」
「《
――システムメッセージ――
トン・デモンズの《
【
よって、開錠します。
――システムメッセージ終了――
「うわ! これも開いちゃった!」
「トンのスキル、すごい!」
祠はゴゴゴゴゴゴゴという音と共に形を変え、その中身である宝箱を差し出す。
宝箱を開けると、中には何も入っていない――?
「え? 空なの……!?」
だがその直後に、空の宝箱の中から、強烈な光が発射される。
光は僕の中に吸い込まれていったような気がした。
「うわ……! なんだこれ!」
「トン、大丈夫!?」
「うん、大丈夫みたいだけど……これは……?」
僕の目の前に、メッセージが浮かび上がる。
まるで空中に、光で文字が描かれているようだ。
――システムメッセージ《個人チャットに送信》――
プレイヤー《トン・デモンズ》による【
チュートリアルクエストの完了!
実績解除【初心者卒業!?】
報酬を受け取りますか?
Yes or No
――システムメッセージ
「ど、どういうことだ……!?」
「どうしたのトン!?」
どうやら、このメッセージはリコには見えていないらしい。
僕だけに当てられたものみたいだ。
書いてあることの一部は、いまいちよくわからないんだけど……。
報酬ってことは……なにかもらえるんだよね?
とりあえずもらえるものはもらっておこう。
「よし、もらうぞ!」
僕はメッセージをタップする。
すると――メッセージのページが切り替わり、続きが表示された。
さらにはなにやら大げさな効果音まで聞こえてきた。
どうなってるんだ!?
――――――――――――――――――――――――
――システムメッセージ《個人チャットに送信》――
――――――――――――――――――――――――
☆報酬Result☆
《トン・デモンズはパッシブスキルを6つ会得》
↓↓↓↓↓以下に詳細↓↓↓↓↓
・ステータス可視化
《自分のステータスが確認できるようになります》
・アイテムボックス
《いつでも出し入れ可能な無限の収納空間》
・基礎能力増強
《レベルでのステータス上昇に加え、基礎ポイントを底上げ》
【体力+5000】
【力+1500】
【防御+2000】
【アジリティ+600】
【運+750】
【魔力+1800】
【生命力+3000】
・聖母の加護
《これを持つ者は死なない、死んでもその前からやり直せる。また、大幅に耐久値が上がり、致命傷、即死ダメージを避ける》
・ナビゲーションシステムオンライン
《あなたの冒険をシステムメッセージがサポートいたします》
・第六感
《超人的なひらめきと、感覚能力を得る》
――――――――――――――――――――――――――
――システムメッセージ
――――――――――――――――――――――――――
「な、なんなんだこれは……!?」
情報量が多すぎる……。
とにかく僕に都合のいい内容しか書いてないってことは、よくわかった。
でもこんなの……いくらなんでもおかしいんじゃないのか!?
「しっかりしてトン!」
「大丈夫だよ、リコ。少し驚いただけさ」
もしかしたらこの《
こんなにたくさんの報酬を得られるなんて……!
それに、リコも僕に振り向いてくれたし、アッケネーアももう怖くない!
まるで昨日までの世界が嘘のようだ。
僕は成人を迎え、新たな――本当の人生を――歩みだそうとしていた……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます