第8話 妹は転校生

「はぁぁぁぁ……」


「どうしたの?そんなあからさまなため息をついて。」


いつも無視してる美樹が話しかけてきた。


「僕が何に悩んでいるかはそのうちわかるよ……」


「なんかそっけな〜い。」


教室の後ろのドアが急に空いた。


「美樹〜!4組にまた転校生が来るって本当?」


「えっそうなの?私知らない…えっもしかして……」


美樹は影助の方を振り向いた。


「そうだよ、それが今の僕の悩みだよ……」


「ちなみに転校してくるのは…?」


「妹だよ……………」


驚いた顔をしてこちらを見てくる。


「でも影助は一人っ子じゃなかった?」


「うん一人っ子だったよ。昨日までね…父さんが再婚して義妹ができたんだ。」


「え?でも影助のお父さんって九州住みでしょ?」


「新婚旅行に行くみたいで、こっちの方が都合いいみたいで…」


「自由人とは聞いたけど、本当なのね。」


教室の前のドアから先生が入ってきた。


「おーい、みんな座れ〜。今日はまた転校生がきた。」


教室がざわざわしている。


そして妹が入ってきた。


茶色いショートな髪、整った容姿、そして制服が似合っている。


「黒柳佳奈です。九州の方から越してきました。」


さらに教室がざわつき始めた。


どこからか聞こえてくる。


〝え?あいつの妹?〟

〝ないないあいつとはぜんぜん似てないよ〟

〝あんな奴の妹で可哀想……〟


酷い言われようだ。


「私は影助の妹ですよ?」


あ〜あ。やってしまった。まだこっちに転校してきて一週間も経ってないのにもうこんなに目立ってしまった。


「じゃあ佳奈さんはお兄さんの前の席でお願いね。」


「お兄ちゃん!!席近いね!」


「あ、あぁ。」


もう妹なのにキョドってしまった。




放課後〜〜〜〜〜〜


「ねぇ。」


帰り道で妹と会った。


「あれ?友達と帰るんじゃないの?」


「友達とは駅で別れた。」


「ふぅん?で?なんか話があるんでしょ?」


「勘違いしないでね。あくまで学校ではああいう設定で貫き通すけど、あんたを兄として認めたわけではないからね?」


「わかってるよ。」


「私は先に帰ってシャワー浴びたりしてるから絶対に入ったりしないでね。」


佳奈は先に走って帰ってしまった。

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