第5話 このカレー屋変なんです!

カレー屋にて


「何名様でしょうか?」


「二人です」


「こちらのテーブルにお座り下さい。」


上原先輩と空先輩がやってきた。

そのテーブルから少し離れた所に僕と糸織は座っていた。


「野上くん、この店大丈夫なんですか?店長も店員さんも変わってそうです。」


「大丈夫なはずだ。僕の知り合いがやってるから、今回の作戦に手伝ってもらえたんだ。」


「でも、店の名前が『カレーズ伯爵』ですよ。芸名じゃないですか」


「まぁ、大丈夫だと思うけど」


「作戦と言っても、先輩達の頼んだカレーのスプーンを一本にするだけですよね。それって、店員さんにもう一本頼まれたら終わりじゃないですか」


「その辺は、大丈夫」


「何か考えが・・・」


「無視するように頼んでおいた。」


「え、えー」


その時

カランカランッ、

扉の音と共に、ある団体が入ってきた。


「ニホンノ、カレーヤハ、ココ、デスカ?タノシミデスネ!」


いかにも、ホンモノって感じの人達が入ってきた。その瞬間、店内の空気がカレーのではない、ピリッとしたものを帯びた気がした。

厨房で店員が何か話している。


「店長!!モノホンが来ました!これは、かなりマズイですよ、」


ダンディな店長がそれに答える。


「あぁ、わかってる。今日、、ウチが変なものなんだ出したら、全インドを敵に回すことになる。」


いやいや、そんな訳ないだろ。ただのカレーだろ。


「そんなにですか?」


「当たり前だろテメェ!!日本とインドの外交はカレーで成り立ってんだよ!今、日本とインドの未来は俺達に掛かってんだ。」


「どうしましょう、いつもの、出しますか?」


ギロリと、ダンディ店長が睨みつける。


「ダメに決まってんだろい!ウチのカレーは、基本甘口。これは、日本人の舌に合わせてんだよ。カレーってのはな、本来、辛いからカレーなんだよ。ウチのは、カレーじゃねぇ、アメーなんだよ!」


「カレーって、日本語から来てたんですか?」


「そんなんも知らねぇでうちで働いてたのか?」


いやいや、そんな訳ないだろ、だったら、もっと色んな種類のあるわ!


「あっちのテーブルにだけ、もとはウチのもんでいいが、スパイスを大量に入れとけ」


「あの、金庫の中に入ってる奴ですね」


金庫?


「おお、そうだ。」


「くれぐれも、他のテーブルに出すなんてこたぁねぇ様に注意しろよ!分かったか。俺は同じ事は二度言わない!俺は同じ事は二度言わない!」


いや、言ってんじゃん。絶対この店の従業員全員バカじゃん!ここの店選んだの失敗だったかな


「はい!」


大丈夫かなぁ?


先輩達が注文をしている。


「すみませーん、」


「はーい」


「この、『ごっついうめーあめーカレー』二つ下さい。」


「分かりました。少々お待ちくださいねー」


上原先輩と空先輩の間には距離が空いてしまっている。物理的にも精神的にも!


僕と糸織は、水だけを飲んで様子を見守る。

ついに、店員さんがインド集団の元へ、


「ウチの本気を見せます!お代はいりません!評価よろしくお願いします!」


「イイデスヨ!」


何頼んでんだよ!

ただの観光客だろ!

だって、服とかもスーツとかじゃなくてTシャツ着てるぞ!

書いてる内容も酷いよ!『いい国作ろうキャバクラ幕府』ってなんだよ!

意味分かってないだろ!絶対普通の人だよー!


「野上くん、うるさいです。」キッパリ


「ごめんなさい。そういえば、前もあったけど、なんで糸織は、僕の心の中が分かるわけ?」


「なんでもは、分からないわよ。分かることだけ。」


「いや、話をそらすな」


「それは、、、」




次回、何故糸織は、心が読めるのか。激辛カレーは、なんなのか。明らかに、、、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る