第19話
気が付けば寝ており、目が覚めると朝だった。
泥酔していても各々が布団に入っている辺り、手慣れているなー等と考えながらミナトは頭に感じる少しの重さを我慢しながら着替えを始める。
「胸が大きすぎても肩はこるし…服の選択だって大変なのよ太って見えるし、そうじゃないのを選ぶと妬まれるしで大変なのよ。」
ブツブツとアキが着替えながらそう言っていた。
まだ、酔っ払っているのだろうか?
それに対して、オオダはピンピンしている。
朝食の時間に遅れて食べ損ねてしまったものの、アキとミナトの水を用意したり…今後のバスの時間を見たりと行動していた。
「ほれほれ、そろそろ行かないとホテルの人に迷惑だよ。」
時計を見ると間もなくチェックアウトの時間だ。
廊下の方からは、ドタドタと片付ける音も聞こえる。
手荷物は、そんなにはないが…ミナトにメイクをさせられなかった事に少しガッカリしながらアキは素早く支度をした。
ホテルを出ると大きく息を吸い込んで朝の香りを楽しむのだが…ここは地獄谷。
吸い込んで香る匂いは木々のような青臭い香りではなくツーンとくる硫黄の香り。
「ぅえふ!」
慣れないアキは、思わず情けない声で咳をした。
オオダに優しく背中を摩ってもらいながら、バスの待合所に進む。
観光名所なだけあって、待合所にもお土産屋があった。
ご当地のお菓子やジュースかアレよコレよと並んでいる。
「やはり、ここはジンギスカンキャラメルか…。」
「え、オオダさん?
一体…何を決意したのかしら?」
ご当地シリーズの中でも地元民ではソコソコに有名なキャラメルだ。
ジンギスカンの甘辛いタレのような味がして美味しいという人もいれば…美味しくないという人もいる。
乗り物に弱い人がいれば、乗り物酔いを促進させて…これ以上は言わまい。
かなり…かなり人を選ぶお菓子だ。
「ほーら、2人ともバスが来たからいくよ!」
アキが指で外にいるバスを指差して大きな声を出す。
慌てて2人はバスに向かって駆け出した。
駆け込み乗車は…などと言う注意を受けて三人は1番後ろの席で並んで座る。
ピーと後を響かせて扉が閉まると、ゆっくりと進み出した。
ガタガタと山町を走るバスはあっという間に駅の近くまでたどり着く。
地獄谷にあったような大きな鬼の像がミナト達を出迎えてくれた。
そんな像を通り過ぎて曲がって進んだ先は、なんだか急に時代が変わったかの様な雰囲気の建造が見えて来る。
時代劇を思わせるの様な雰囲気の場所が、本日の目的地の一つの時代村だ。
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