第18話
部屋に戻ると、旅の疲れがドッと出たのか凄く体が重くなった。
ミナトは、その体の重たさに身を任せてベッドの上にポスンと倒れる。
「ほらほら、みーちゃんお行儀が悪いわよ。
お楽しみはこれからなんだから。」
アキはニコニコとグラスを取り出して、テーブルの上に置いていく。
オオダも待ってましたと言わんばかりに冷蔵庫からボトルの白ワインを取り出した。
ミナトがノソノソとテーブルに着く頃には、お酒もツマミも用意された後だった。
なんて手際の良い2人なのだろう…。
「それじゃ、かんぱーい!」
オオダの元気な掛け声で、三人はグラスを合わせた。
ワインは飲み慣れていないから味の良しあしは良く分からない。
そう言う割には飲む速度はやや遅いものの、美味しそうにワインを飲んでいくオオダ。
「オーちゃん、飲むペース早いけど大丈夫?」
「んや、あれでも遅い方だからオオダドンに関してはあまり心配しなくてもいいよ。」
驚くアキとは打って変わって呆れたような顔でミナトは乾いた笑いを浮かべていた。
「そういえば、明日は何処にいくんだっけ?」
「んー、少し海に向かった所にある時代村。
私は行ったことがなくてね、少し興味がある。」
アキの質問にミナトはそう答える。
時代村…自分は幼少の頃に行ったような気がするが…昔の事とお酒が相まっていまいち思い出せない。
まぁ、行けば分かるだろう。
「そ、れ、よ、り。
なんでそんなにミナトは肉がないんだ?
食べている量は大体ウチと同じじゃない、寧ろ…オヤツとか食べてる分ウチよりたべてるんじゃない?」
会話の途中で、オオダがミナトの後ろから抱きつくように飛びかかってきた。
飛びかかるとはいっても大した勢いもなかった為、細身のミナトでも受け止めきれている。
ミナトに抱きついた後は、後ろからお腹をオオダは揉んでいた。
「ぇえい、知るか酔っ払い!
私の腹を触るなぁ!」
ジタバタと暴れるミナトだったが、オオダが離れる気配はない。
その中でジリジリと近づく影があった。
勿論、それはアキだ。
「それはね、私も大変気になっていたのよ。
胸だってない訳じゃないし…貴女の肉体はどうなっているのかしら?」
両手をワキワキとさせて今もなお、ジリジリと近づいている。
こんな話、温泉では話題にさえ出なかった事もお酒が入ればこの通り。
これがアルコールのパワー。
「もっともっと、話すことあるじゃないか!
はーなーせー!」
ホテル全体の部屋割りがどうなっているのかは知らないが…きっともって迷惑な位の音量でミナトは叫ぶ。
ミナトは、明日の朝怒られないことを切に願いながら2人と戦い続けたのであった。
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