第11話
美味しそうにビールを飲むオオダ。
夕食までは少し時間はあるから、札幌駅で買ったプレゼントを渡すのは今が良いだろう。
ミナトとアキはそうアイコンタクトをとるとぞれぞれが、おもむろに自分の荷物をあさる。
オオダも携帯の充電器を取り出しているのだろうとあまり気にしている様子もなく、BGM代りにつけていた宿のテレビを眺めていた。
「ほれ、オオダドンかなり遅くなったけど誕プレ。」
「私からもオーちゃん誕生日おめでとう。」
ミナトとアキは絶妙に中身が予測しにくい包装の袋に入れたプレゼントをオオダに手渡す。
流石のオオダもまさかのサプライズに目を見開いて驚いた。
「びっくりした。
ありがとう、ミナトにアキ。」
少し戸惑うような雰囲気で手渡すプレゼントを受け取った後にオオダは顎に手を当てて考える素振りを見せた。
「…あれ?
ウチより2人の方が誕生日が…。」
「細けぇ事はいいんだよ。
はよ中身を見なされ。」
オオダの言葉を遮るようにミナトにそう言われると、言われるがままに先に受け取ったミナトの包装された袋を開ける。
プレゼントの包装と開けるときは皆はどうだろうか?
彼女らはそれぞれ開け方が違う。
ミナトはどうせ捨てるからとピリピリと開けてしまう派。
アキは散らかるのが嫌だからゴミが出ない程度に破く派。
じゃあ、ちょこちょこ脳筋のオオダは?
実は、彼女はにかなり綺麗に開ける派の人だ。
指や爪を駆使して、包装紙を傷つけないで上手に開ける。
昔にミナトがどうせ捨てるのに何故そこまで綺麗に開けるのかを聞いたら達成感が半端ないだそうだ。
アキもミナトが買ったプレゼントの内容を知らない。
開けるペースが遅めなオオダの動きにソワソワしながら包装された答えを予測した。
ミナトが送るものだ、相手が喜ぶものを渡す筈だ。
お酒が好きだから何か珍しいお酒でも買ったのか。
それとも、オオダはゲームも好きだから何かのグッズとか?
包装が解かれて出てきた中身は、スーパーで売っている肉が出てきた。
「んんん!?」
予想外の物に変な声を上げたオオダだったが、よく見たら肉のような絵柄のタオルだ。
このミナトの意味不明のプレゼントにガッカリしたのはオオダではなく、プレゼントを受け取らなおいアキの方だった。
「私も人の事は言えないけど、もっとあったでしょミーちゃん。」
呆れるアキがオオダに渡したプレゼントは、ゲームのテーマに沿ったレトルトの食べ物だった。
これにも困ったような表情を見せたオオダ。
箱の説明をみたらどうやらお湯などで温めるレトルトカレーのようだ。
色は赤茶色ではなく、ゲームのキャラの色に合わせてなんと黄緑らしい。
旨いかどうかはわからないが珍しい食べ物は好きだ。
「とにかくうれしいよ、ありがとう2人とも。」
オオダは二人のプレゼントと抱きしめて満面の笑みを浮かべてそう言った。
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