第7話
半乾きではあるが…髪の毛を乾かしたミナトとアキは、先に脱衣所から出たオオダの探した。
彼女は、自販機を求めてウロウロしている。
「オオダドン、どった?」
「んや、お風呂と言ったら牛乳かなーなんて探してたんよ。」
ノソノソとミナト達の所に歩いてきたオオダ。
アキは、何かを思いついたようでニヤリと笑みを浮かべる。
「どうせなら、アイスを食べましょ。
温泉街なんだし…無いって事は…。」
暖簾をくぐり外に出たアキは、キョロキョロと辺りを見回す。
すると、アイスのマークが見えた。
よしよしとウキウキで、店の前に移動したアキは不敵な笑みを浮かべて店を指さした。
「ここは、普通に買ったら面白くないから…男気ならぬ女気ジャンケンをしましょう!」
「ゴロ悪うぅ、なんか別の言葉ないの?
それにアイスくらいなら奢ろうか?」
キラキラと楽しそうにするアキに水を刺すように、うぇえと怪訝な表情を浮かべるミナト。
このまま、彼女を放置するとオオダも続いて何か言いそうだ。
「おだまり!
奢ってもらいたいんじゃ無いの…自分の今夜の運を試したいの!
これは…自分との勝負!」
フンスと胸を張ったアキはグッと右手の拳を胸元まで上げてそう言った。
ガチャと言う文化に飲まれてしまったか…。
そんな事を思っていると、オオダはミナトの後ろで指をポキポキと鳴らした後に指で輪っかを作り覗き込んでいる。
視線をオオダに向けた後に思わず声をかけてしまった。
「オオダドン?」
「勝負と言われたら断れないねぇ。
ウチは負けないぞ!」
自分の作った輪っかから何が見えたのかは知らないが、オオダは儀式のような事をした後にシュッシュとシャドーボクシングを始める。
なんでコイツは、いつもいつも闘争心剥き出しなのだろか。
まぁ、面白そうなのは事実。
やれやれと言ったミナトも内心では闘争心メラメラでじゃんけんに備えて移動する。
花の乙女3人がアイス屋さんの前で身構えている姿はとてもシュールだ。
勿論、他の客に配慮してやや店の前からズレて立っている。
「最初はグー!!
じゃんけんポン!!」
国民的な芸人が考案したと言われているお馴染みの掛け声をアキが言った後に一斉に手を出す。
オオダとアキはグーで、ミナトがチョキを出していた。
こういう時のじゃんけんはめっぽう弱いミナト。
勝てるとは思ってはいないが、負けたら負けたで存外悔しい。
そんな敗北感を抱きながら、ミナトは自身の出したチョキを眺めていた。
喜ぶ2人を眺めた後に腹をくくって、じゃんけんの様子を苦笑い気味で見ていた店員の前に移動する。
「えぇい!
女にも二言はない!!
すいません、アイスを3つください!!」
「ゴチになりまーす!」
やけくそ気味でそういうミナトに2人はそういった。
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