第8話
側にあるベンチでアイスを堪能した3人は、ゴミをゴミ箱に捨てると坂を更に上がっていく。
目的地は地獄谷。
今は夜になると、ライトアップされていて綺麗なんだそうだ。
日頃の運動不足が祟っているようで、アキは随分と死にそうな顔をしている。
とはいえ、坂道に余裕があるのはオオダだけで、仕事柄よく歩くミナトも多少は息が上がっている。
「これが老いなのね。」
「いや、それ只の運動不足。」
ズバッとアキの一言をぶった切ったオオダの視界に閻魔大王の像があった。
大きな屋敷のような建物の中に鎮座しており、地獄を統べる王と呼ばれているわりに随分と表情が柔らかい。
「さっきの温泉にあった石造といい、この閻魔様といい地獄をモチーフにしてる割に随分と柔らかいものが多いのね。」
「流石、キング。
その穏やかな表情に器の大きさを感じるわ。」
ミナトがそうふざけた瞬間に閻魔大王の表情が鬼のように恐ろしいものに変わった。
ぇえええええ!!
3人は、ほぼ同時にそう声を上げた。
「ミナト、閻魔様激おこやん!」
「ごめんて!!
そんな沸点低いとは思わなかったよ!」
オオダとミナトがワイワイ言っていると体力が戻ったアキが建物を調べ始める。
どうやら1日に数回だけ地獄の審判という厨二もニッコリの時間が存在するらしい。
観光シーズンが少しズレているため人は少ないが、周りにはこれを見る為に集まる人たちがいた。
それぞれが写真や動画をとってそれぞれの思い出を残している。
アキの体力が戻ってきた所で再び坂を上り始めた。
このペースで進んでいって帰りにアキが宿に戻れる体力が残るのだろうか。
そんな事を考えていると、登別温泉の奥にある間欠泉の公園まで辿り着いた。
小さ目の広場に鬼の棍棒のような柱が立っており、進んでいと間欠泉があるトンネルのような所があった。
安全の為に柵があり、間欠泉の近くまで行けないようになっている。
しかし、多少なり距離はあっても熱量と迫力は変わらない。
感覚をあけて吹き出すお湯と煙に感動しながら3人はその様子を眺めた。
間欠泉公園までつけば、地獄谷はすぐそこだ。
案内の看板もありそれに従い更に坂を上がっていく。
「なんで、ファンシーな感じの鬼の石造ばっかだっだのに急に迫力をだした。」
大きな鬼の像のようなものを眺めたミナトは、思わずそう言ってしまった。
温泉街にあった2頭身の愛らしい鬼の石造に対し地獄谷の入り口に立っているのはまるで本物の鬼がきましたと言わんばかりにリアルに作られえている。
青、赤と色も付けられていて以外にカラフルだった。
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