第2話
次の棚は、ジョークグッズだ。
目立つ色のカレーや、面白い形のコップや用途不明の覆面と手品のグッズなどなどが並んでいる。
「ここだね。」
「…ミーちゃん、ジョークグッズだとしても今後は一切使わなさそうな物はダメだよ。」
フンスと気合を入れる彼女をアキはジト目で見つめる。
分かってるわかってると、更に棚の奥を目指して進んでいく。
分かっているのかなぁ…少しの不安を胸にアキも自分が渡す用のプレゼントを探して購入。
これは…お互いも知らない方が面白いだろう、各々が買ったものはここでは教え合わないでホテルについてからのお楽しみにした。
「それで、今回は登別だっけ?」
「そだね、高速バスでピューッと行く予定。」
手を伸ばしてそうジェスチャーしながら、返事をするミナト。
次は何処の喫茶店で待とうか。
そう話していると、ミナトの携帯にメッセージが届く。
【すまぬ、友よ。
拙者…只今到着致した。】
「あやつは、いつから武士になったのだろう?」
「武士でも何でもいいから、その表情はやめなさい。」
少し険しい顔をしてみせたミナト。
そんな彼女の顔をほぐすようにアキはミナトの頬を両手で揉んだ。
彼女を回収したのはJRの改札の直ぐそばにあるイベントホール見たいな所で今回は、東北地方の観光名所が展示されている。
そこには、オオダが立っていた。
方向音痴の彼女でも無事に辿り着けた事に安堵していた2人を見つけるとオオダは駆け足で近づいてくる。
テテテーっと進む姿はまるで小動物だ。
「ごめん、遅れちゃった!」
「バスの遅れだし、しゃーないしゃーない。
高速バスの時刻もまだ余裕があるし、問題ないよ。」
両手をパチンと合わせて、それに顔を隠すように頭を下げた。
ミナトの優しい言葉にパァッと表情を明るくするが…横にいるアキを見て表情が固まる。
何をさせてやろうかと、悪魔のような邪悪な笑みを浮かべていていたのだ。
「ミナトミナト…アレ…。」
「ごめんね、オオダドン。
私は飴で、アキは鞭担当なんだ諦めて。」
嫌ぁあああ!
そう感情を表すようにオオダは膝から崩れ落ちた。
そんなオオダをアキは菩薩のような笑みをしながら、優しく立ち上がらせる。
「大丈夫、私だって鬼じゃないわ。
少し…すこぉし、私のお人形さんになるだけでいいから。
大丈夫大丈夫、簡単なメイクと髪を少し弄るだけだから。」
「そしたら、私は2階の酒売り場で旅先の物資をあつめてるから。」
ズルズルとトイレに引きずられるオオダ。
これは後で見たほうが面白いだろうと判断したミナトは、見捨てるように旅館の客室で嗜むお酒やお菓子を物色をしに向かった。
「ミナトだって味気ないじゃないか!」
「大丈夫、次はあの娘だから☆」
何やら、アキ達から不穏な言葉が聞こえたような気がしたが…ミナトは聞かなかった事にして早足で2人から距離を離れるように進んだ。
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