第10話
「素直じゃ生きられない」
第3章 1
俺と佐智子…間にはマキエがいる。
三人でテレビの前に座ってポテトチップスとコーラをテーブルに拡げている。
「父ちゃんが作ったの?」
マキエ4歳にはパパと呼んで欲しいが何故か父ちゃんと呼ばれている。
「ママと二人で作ったんだよ」
「ママも作ったの?」
「そうだよ。マキエがお腹に居るときにね。パパと作ったの」
「あのさ、マキエはなんで父ちゃんは父ちゃんでママはママなの?母ちゃんじゃ無いの?」
「えっとね父ちゃんはパパの顔してないから父ちゃん!ママはママの顔してるからママなの~」
マキエはニコニコしている。
「なんじゃそりゃ」
佐智子は俺とマキエのやりとりを見て笑ってる。
タイトル「あの時」
放課後の教室に風に揺れるカーテン。
引き裂かれたカーテンはゆっくりと風に流れている。
それを見つめる幸ー。
校庭からは各部活の人達の声が微かに聞こえている。
ママだ~!
ショッピングモール街を必死に走るシンー。後ろには六人の他校の不良少年達が追い掛けている。
のりちゃんと良ちゃんだ!
そこは父ちゃんだ!だろ。
桜の下、土手のベンチ前で第二ボタンをシンが幸に渡して二人は抱き合う。
キャッキャッしている。
場面は変わって、作業服姿のシンに幸がお弁当を渡してキスをしている。
幸はシンを見送りながらお腹を優しく摩っている。
夜ー。
小さなテーブルで原稿用紙に向かうシンに幸が珈琲を運ぶ。
テーブルの横で大の字で寝転がるシンを横目に幸が原稿用紙に赤ペンを入れている。
何してんの?
病院の廊下を走るシン。
病室に入ると母親と義理父の間に小さな赤ちゃんを抱っこした幸が微笑んでいる。
シンは嬉しそうに近づく、幸から赤ちゃんを渡されてそっと自分の腕で赤ちゃんを包み込んだ。
マキエだ!可愛い!
自分で言うんか!
メッセージ
あの時々の出来事は僕達を創り上げてくれた。
あの時の君の言葉が私を嬉しくさせてくれた。
あの時の君の態度で僕の人生を導いてくれた。
そして僕達は此処にいるんだね。
今、この時もこの瞬間に幸せを感じながらー。
「いいねぇ」
「泣いちゃった!」
佐智子は映像を見ながら泣いている。
「なんて書いてあるの?」
「マキエが大きくなったら読めるようになるからそれまで内緒!」
「えーー!読めるようになるの?」
「なるよ!お楽しみだね!」
マキエは大きく頷いた。
佐智子はギュッとマキエを抱き締めた。
「首苦しい!」
「あ!ごめん!マキエが可愛い過ぎちゃって力入れすぎた!」
俺はその二人を抱き締めた。
男の子だったらマキタ。
女の子だったらマキエ。
充電ドライバーのメーカーの名前である。いつも傍に居たいからと言う理由である。自宅の掃除機もマキタである。
つづく
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