第二章ー4話  説明

俺が時の流れを元に戻すと、クラスのみんなが動きだした。

 しかし、皆はソルシアに向かって呆然としている。


『皆様は、私が管理している世界に召喚されました。』


「えっ...?」


「マジかっ...!?」


 ソルシアが、皆に向かってそう告げると、意味が分からないという顔をする生徒と、言葉の意味を理解して、興奮する一部男女に分かれた。


『私の言った言葉の意味が、分かった人にも再度言いますが、皆様には、これから異世界へと行っていただきます。』


「拒否権は...?」


『残念ながら、これは強制の為、拒否権はありません。』


 ソルシアが再度説明すると、隣にいた颯太が理解したようで、拒否権の有無について聞いたが、結果は当然駄目であった。


『皆様が、召喚される世界は、魔法や魔物などがある、中世ファンタジーの世界と同じです。その為、皆様が居た科学が発達した世界とは、全く異なった世界に突然行くとなると、皆様が混乱してしまうと考えた為、ここに来てもらいました。』


「あんた神様なんだから、どうにか出来ねえのかよ!」


 ソルシアが、ここに俺らを連れてきた理由を言い終えると、ずっと黙り込んでいた不良グループの一人が口を開いた。


『申し訳ございません。我々神には、世界に直接干渉してはならないという掟がある為、どうすることもできない代わりに、ここで皆様に、あちらの世界で苦しまない様、私からちょっとした贈りギフトをお送りします。』


 ソルシアが、不良男子の質問に淡々と答えると、もうどうする事もできないことを彼は悟って、黙り込んでしまった。


「女神様。その贈りギフトとはどのようなものですか?」


 少し続いていた静寂を破ったのは、俺たちの担任の先生である尾形敖大おがたこうだいだった。

  

『おお、良い質問をしてくれましたね。流石教師を生業としているだけありますね。』


—いや、教師じゃなくても、俺ぐらいの歳の子供ならできると思うけどな。


 俺は、ソルシアの答えに対し、心の中でツッコんだ。


『今質問があったように、贈りギフトとは、あちらの世界の人間が、成人した際に授かる職業と、特定の条件を満たしたり、鍛錬し続けて得ることができる〈スキル〉を指します。』


「それは自由に選べますか?」


 ソルシアが贈りギフトについて説明し終えると、すぐに颯太が的確な質問をする。


『残念ながら、職業は既に皆様に合ったものが選ばれており、それに加え、〈スキル〉

も職業に合ったものが、自動で振り分けられる為、ご自由に選んで頂くことはできませんので、ご理解下さい。』


「そうですか...」


 ソルシアの口から、俺も知らなかった事が発せられた。

 それを聞いた颯太は、少し残念そうな顔をしながら答えた。


『私からの説明は以上です。詳しくはあちらの世界の者が説明いたします。他に、ご質問等はございませんか?』


「・・・・・」


 俺たちは、ソルシアから質問の有無を問われたが、しようとする者は現れなかった。


『特に無さそうですので、これからあちらの世界に転送いたします。皆様のご健闘を願っております。』


 ソルシアは、他に質問が来ないことを確認し、これからあの世界に転送する旨を俺たちに伝えた。

  

パチッ—


 ソルシアがフィンガースナップをすると、地球から転送された時と同様の、白い光が俺たちを包み込んだ。

 一回目の時は、酷く混乱していた皆だったが、今回は慣れたのか、声を上げて動揺したりはしなかったが、冷静を保っているつもりでも、不安な表情を隠すことができてないのが見える。


—さて、あいつをどう教育しようか...


 そんなことを他所に、俺は向こうに行ったら、アルフレッドをどう教育しようか考える。

 それぞれが色々なことを考えながら、俺たちは光に包まれ、また、水に沈んだ感覚に襲われる。

 


○○○

 ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。

 二月末に更新すると宣言しましたが、色々とリアルの方で忙しく、中々書く時間が無かった為、遅くなってしまいました。

 申し訳ございません。

 これにて第二章は終わりです。

 次回は4月末、もしくは5月中に更新できるよう、頑張りたいと思います。

 それではまた...

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忘れられた賢者の異世界譚 天昌寺 晶 @tensyouziakira

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