第二章ー2話  異世界の事情-1

『少し長い話になるのですが、アヤセ様があの世界から去った後、お弟子さん達は凄い成長を成し、世界各国の重鎮、あるいは国王になるなどし、互いに協力しあい、世界の平和を保っていました。』


「流石、我が弟子達だな。」


 俺は、俺が死んだ後の、弟子達の行いについて、ソルシアから聞かされ、誇らしげに呟く。


『そんなある日、職業「賢者」のアヤセ様の一番弟子・アルフレッドが、外界の神と接触しました。』


—えっ?


『結果、その神と契約を結び、私の管理する世界の並行世界と、私の世界との間に隔てられている次元の壁を、破ってしまったのです!』


—ええっ?!


 俺は話に理解が追いつかず、混乱する。


『それにより、アヤセ様達に防いでいただいた災厄がまた、私の世界にやって来たのです!』


「ちょっと待った!もしかしてその災厄って本当にあの時の奴らなのか!?」


『はい。その通りです。』


—マジかよ...


 俺は愛弟子だったアルフレッドの行為を知り、悲しかった。

 更には、自分ら四王が必死に守った世界に、また同じ敵が現れたと聞き、あの苦労は何だったのか?と思った。

 

「話を続けてくれ」


 俺は頭を抱えながら頼んだ。


『はい。その後、アルフレッドは災厄達を引き連れて、手始めに国力が弱い順に、各国を蹂躙しました。ですが、3カ国目が崩壊寸前の時、アヤセ様の弟子の皆様が集結し、見事アルフレッドと災厄達を撃退しました。しかし、弟子の皆様はアルフレッドを殺すことが出来ず、逃がしてしまったのです!』


—とてもヤバい事が起こってるな...


俺は、情報量が多すぎて、所々聞き流していた。


『逃げたアルフレッドは傷を癒やし、並行世界へと逃げ込みました。そこで、残る災厄達(最初に来た災厄よりも数が多く強力)と共に、私の世界へと侵攻する準備をしています。その事を知った弟子の皆様は、以前の時と同じ様に、異世界(自分達の世界の並行世界とは違う世界)から四王と同じ、言うなれば勇者を召喚しようと決めたのです。しかし、弟子の皆様は、正式な召喚方法を知らず、自分らの命と引き換えに召喚する方法を選んでしまったのです。その為、弟子の一人であるガイアスさんは、余生を過ごしたいという希望の為、参加はされませんでした。』


—そういえば、ガイアスは内気だったな...


『そしていざ、召喚の儀を行ったら、弟子の皆様一人ひとりの実力が相当なものであり、更にはその命を捧げた為、この召喚の儀、というより召喚魔法はとても強大なものになってしまい、本来4人召喚するつもりが、その影響で40人規模の集団を召喚してしまったのです!』


—なるほど。つまり10倍の力になったのか..


「ありがとうソルシア。俺が死んでからの、事の経緯を分かりにくく説明してくれて。」


 俺は話が長過ぎたので、ソルシアにそう伝えた。


『ええっ!?ちゃんと分かりやすく説明しましたよ!?』


「いやいや、最初に長い話になるとは言っていたけど、もう少し要点をまとめて話すべきだったと思うけどな。」


 俺は前世から、長い話を聞くのは好きではなかったので、ソルシアにそう指摘した。


「次からはそうしてくれ。」


『うぅ、ひどいです...』


「・・・・・・」


 ソルシアは誕生してから、既に数万年はたっているくせに、急に言葉を子供っぽくしてきたので、俺は少しムカついた。


「それじゃあ気を取り直して、話の続きをしようか。」

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