第12話.覇王学園規則
「それじゃあみんなにこの学校のことを説明していくね!」
そんなふうに明るくリムは言っているが、他のものたちは先ほどのリムの不穏な言葉によって表情は少し硬い。
『まあそりゃあそうだよな。せっかくSクラスで入れたのにあんなこと言われたら不安にもなる。このクラスで不安とも思っていないのはフレイアと坂本ぐらいか』
そうフレイアと坂本はリムの話を聞く前から態度は変わっていない。
「まあそんなに硬くならないで!まだ始まったばかりなんだから楽しも〜!」
リムは相変わらず1人だけテンションが高いが、生徒たちは規則の説明を静かに待っている。
「じゃあ今からみんなに端末を配るね!えっと【ディスト】!」
そうリムが唱えると生徒たちの元に黒い四角い端末が配られた。
「みんなの元に渡ったかなー?じゃあまず端末を起動してプロフィール画面の自分の名前が間違っていないか確認してね!」
そう言われ、生徒たちは端末を起動させる。
刹那も端末を起動させてみると自分のプロフィールが出てきた。
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名前:宮本刹那
種族:人間
学年序列:1位
学園序列:801位
評価
学力:SSS
戦闘能力:SSS
社交性:C
魔力:SSS
補助魔法:SSS
総合評価:SSS
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『なるほど。これは便利だな』
刹那がそんな感想を抱いているとリムの説明は再開した。
「はーい。みんな確認できた?ちなみにみんなの情報は学園中の誰でも確認することができるよ!序列が上がると隠すこともできるようになるから隠したいのなら頑張ってね!ここまでで何か質問はある?」
「はい。よろしいでしょうか」
「じゃあフレイアさん!」
「この評価というものを上げるにはどのようにすればよいのでしょうか?」
「いい質問だね!評価は毎年一回だけある学力テストで学力が上がるよ。それから年に一回の決闘祭やこの学園じゃ日常茶飯事に行われている普通の決闘でも上げることはできるよ!まあその逆に下がることもあるから気をつけてね〜」
「他には何かある?」
「はい。よろしいでしょうか」
「えっと、坂本くんどうぞ!」
「評価の上限と下限を教えてほしいです」
「なるほど。確かに気になるね!評価の上限はSSSランクだよ!一つの分野にでもSSSがついていればいい方だね!総合評価がSSSになることは今までに一度もなかったみたいだからそれだけですごいことがわかるね!」
そんなことを言いながらリムは刹那のことを凝視している。
『俺の評価はすでに知っているってことだな』
刹那はそんなリムからの視線をスルーし、説明の続きを促す。
「あと下限はFランクだね。これも滅多にないからもしこのランクになっちゃったら危機感を覚えた方がいいよ!まあSクラスのみんなには関係ないけどね!他には何かある?」
リムがそう言ってクラスを見渡すと誰も手を上げるものはいない。
「じゃあ次は決闘の説明だね。決闘は毎月3回負けるまで誰とでもすることができるよ。自分より序列が上の人に勝つことができれば、その順位に上がることができて負けた人から下は順位が一つずつ下がるって仕組みだね。だから決闘を全然しないと序列がどんどん下がっちゃうから気をつけてね!」
リムがそういうと他の生徒たちも気を引き締める。
「自分より下の序列の人に勝った場合は、お金がもらえるよ!自分と相手のランクの差によっていくらもらえるか決まるんだ。たとえば、総合評価がSSSランクの人がFランクの人を倒しても100リコルしかもらえないけどその逆だと100万リコルもらえるよ!」
『なるほど。確かにそう言ったメリットがないと序列が上のやつは下のやつからの決闘を受ける必要はないからな』
「ここまでの説明で何か質問ある?」
「はい!」
「お、またフレイアさんだね!いっぱい質問してくれて助かるよ!」
「決闘の申込みはどのようにするのかを教えてほしいです。」
「おー肝心なことを言い忘れてたね。決闘はみんなの端末から相手のプロフィールを検索して詳細画面を見る。そして決闘申し込みというボタンがあると思うから日時と会場を指定したら相手に送ってね。相手が受諾してくれたら決闘成立だよ。決闘予定表に決闘をする人たちの名前が載るから誰でも観戦できるよ!」
『なるほど。となるとこの手紙の印の上についている500って数字は申し込まれてるってことか?』
「お!その様子だとみんな気づいたね!そう、その手紙印の上の数字は決闘を申し込まれている件数だよ!みんなは総合評価が高いからお金稼ぎのためにいっぱい申し込まれてるだろうね!受けるも受けないも君たちの自由だから好きにやればいいよ!」
『とりあえず後で確認して、何回か対戦してみるか。決闘の雰囲気を掴んでおきたいしな』
「よし!それじゃあ最後の説明をするね!まあこれは今までみたいに難しくないことだからすぐに終わるよ!この学校が全寮制なのはみんな知ってるよね」
リムはそう説明しながら生徒を見渡す。さすがに驚いている生徒はいなかったみたいで次に進む。
「うちの学園は男子と女子で寮を分けるのではなく、クラスごとに寮分けがされてるよ!その理由はクラスによって寮の設備が全然違うんだ。Sクラスは最上級の設備が揃ってるよ!」
『なるほど。逆にFクラスの設備が気になるな』
刹那がそんなことをぼんやりと考えている間にも説明は続く。
「基本的に寮母さんのいうことには従うこと!あまりにも態度が改善されない場合は罰があるからね!罰の内容は秘密だよ!」
その言葉でSクラスの面々は一瞬驚いたものの、悪い態度を取らなければいいだけなので別に問題ないと考えた。
「よし!これで今日の説明は終わり!最後に何か質問はある?」
「はい」
「おお、またフレイアさんだね。どうぞ」
「授業面についての説明がまだなのですが...」
「その説明は明日するね。結構細かい規則があるから。まあ端末の方に電子でガイドブックが入ってるからそっちにも詳しく書いてあるよ。それを読んどいてね。他に質問はある?」
そう言ってクラスを見渡すが、質問があるものはいないようだ」
「よし!それじゃあ今日はこれで解散!寮に行くなり、友達と遊びに行くなり学園生活を楽しんでね!」
そういうとリムは教室から出ていった。
「結局、クラス変動の件については言われなかったわね」
フレイアが唐突に刹那に話しかけてきた。
「ああそうだな。おそらく学年序列によって変動するんだろう。13位以下に下がったら移動じゃないか?」
「まあそうでしょうね。そうならないようお互いに頑張りましょう」
「まあほどほどに頑張るさ」
そう言い残し、刹那は教室から出て行こうとすると
「失礼致します。宮本刹那さんはいらっしゃいますか?」
そう言って教室に入ってきたのはこの学園の生徒会長様だった。
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