第11話.Sクラス
入学式が終わり、次は教室でカリキュラムなどの説明がある。
刹那はSクラスという最上位クラスに配属されているため、そのクラスに向かっていた。クラスに向かっている途中、所々から視線を感じるが、そんなものは気にしないと言ったように無視して堂々と歩いている。
『とりあえずこんな感じで目立ってみたが師匠の望み通りかね』
なんてことを考えていたら刹那はSクラスの教室へと着いた。
ガラガラと教室のドアを開けると中には11人の生徒がいた。
『このクラス人数少ないな。おそらく上位12人のみがSクラスといったとこか』
刹那の予想通りSクラス以外のクラスは約30人~40人ほどいる。
刹那がクラスに入ったのと同時に周りの視線も自然と刹那に集まる。好奇心や嫉妬、怒り、さまざまな視線が刹那に向けられるが、刹那は関係ないというように自分の名前が書かれた席へと向かった。今の席順は序列のようで一番後ろの窓際の席が刹那の席となっていた。
席に座るとすでに隣の席に着席していた女生徒から聞き覚えのある声で話しかけられた。
「久しぶりね。刹那」
「ああ、久しぶりだなフレイア」
そう隣の席、つまり入試で次席として合格したのはフレイアだったようだ。
「それにしても入学早々随分な人気もになったのね」
そんな皮肉を微笑みを浮かべながら言ってきた。
「ああ、そうだな。フレイアも俺なんかには話しかけない方がいいんじゃないか?」
「私はいいのよ」
「どういうことだ?」
「あなたが言ってたことは全部正しかったと思うしね。悔しいけど」
そんなふうにフレイアは少し表情に影を落としながら言った。
「そうか。まあ俺も学園で話せる人がいなかったからフレイアが話してくれると助かるよ」
「ええ。私もいないから似たもの同士ね」
『ふむ。これが友達というものなのだろうか』
などと話していると教室の扉がガラガラと開いた。
「はーい。みんな座ってね。」
そう言って入ってきたのはこのクラスの担任となる女教師だった。
「私はリム=レズニック。このクラスの担任を務めさせていただくことになりました。気軽にリム先生って呼んでね。みんなよろしくね!」
そう言って元気に挨拶をしたのだった。
『へーあの先生結構強いな』
そんな初対面の感想を抱くとリムは刹那の方を向き、微笑んだ後、
「ちなみに私はこの覇王学園のOGであり、Sクラスを首席で卒業したんだよー。だからなんか困ったことがあったら言ってね!」
そんなことを笑顔で言ってのけたが、これに周りはざわつく。それはそうだ。この学園での首席卒業は常人では不可能だ。それほどの実力を秘めているということになる。
「さあ。私の自己紹介が終わったところで次は君たちに自己紹介してもらおうかな。それが終わったらこの学校の説明を始めるね」
そして12位の生徒から自己紹介が始まった。
「私は12位で合格した〜」
そんな自己紹介を刹那はぼんやりと聞いていたが次は例の王子の番となる。
「僕は坂本隆二だ。知ってると思うが、この国第二王子をしている。あそこにいる卑怯者と違って実力はこの学校一だ。」
その言葉に刹那は思わず吹き出してしまう。
「な、何がおかしい!」
「いやいや俺のことを卑怯者と言ってるようだが、それでもおかしくないか?俺以外にもお前の上には2人いるんだぞ」
「そんなのは関係ない!そいつらもズルをしたに決まっている!」
「はあ。厳正な元に審査されてる試験でいちいち不正を疑うとかお前の実力が知れるな」
「な、僕に向かって何様のつもりだ!貴様!」
「刹那様だよ。僕さま?」
「いい加減にしろ!」
そう言いながら坂本は刹那に向かって風魔法を使用しようとした。
だが、
「はい。そこまで」
リムがそういうと同時に坂本の手元に集まっていた魔力が霧散した。
「な!」
『ふむ。今のは発動している魔法の魔力を吸い取る魔法だな。なかなか面白い魔法を使う』
今リムが使った魔法は刹那の解釈通り、相手の魔法に込められた魔力を吸収し、自分のものにするというとても高難易度で強力な魔法だった。
絶句している刹那以外のクラスメイトを前にリムは
「はい!喧嘩はしないようにね。刹那くんも喧嘩を売らないように!隆二くんも学校内で許可なく攻撃魔法を使用したら罰則になるから次回以降気をつけてね」
といった。そんなリムの言葉に
隆二は渋々といった感じで頷き刹那は
「すんません」
と適当に謝り、この場は収まったのだった。
「はい、それじゃあ自己紹介を再開して〜」
というリムの合図で自己紹介の時間が再開したのだった。
「あ、そ、それでは、わ、私の番ですね!」
と非常におどおどした女生徒が3位のようだ。
「わ、私は宮本桃と言います。え、えとよろしくお願いします!」
そう言ってすぐに座り、俯いてしまう。
『宮本?まあそんなに珍しい苗字でもないからいても不思議ではないか』
刹那と桃の苗字が同じなのが少し気になりはしたが刹那は偶然だろうと割り切り、特に詮索することはなかった。
「次は私の番ね。私は次席のフレイア=フレイム。これからよろしく。」
そう端的に述べてフレイアは座ったのだが、なぜか他のみんなが少し視線を逸らしている。
『フレイアは何か有名人なのか?』
そんなことを刹那は思ったのだが、特に聞くことでもないと思ったので、そのまま自分の自己紹介を始めることにした。
「もうみんな知ってると思うが、首席の宮本刹那だ。まあよろしく頼むよ」
そう言った時に隆二からとてつもなく強烈な視線が向けられたが、当然の如くスーした。
「よし!これからみんなよろしくね!まあずっとこのクラスで続くかはわかんないんだけどね」
リムがそのようなことを言うとSクラスの面々は表情を引き締めた。
『やっぱりな』
刹那は最初から分かっていたかのように冷静に話を聞いていたのだった。
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