第5話.魔力測定

フレイアと別れ、試験官の元へついた俺は試験官から試験の説明を受けていた。


「ここにいるやつならほとんどが知っているだろうが、知らないバカのために一応説明しておく。入学試験は実技試験、筆記試験の順に行う。実技試験の方が配点が大きいからといって筆記試験で手を抜いたら痛い目を見るからな。実技試験は試験を行う試験官がそれぞれ簡単に説明するからここでは以上だが、何か質問があるものはいるか?」


試験官はそう言いながら周りを見渡し、質問がないことを確認するとこう続けた。

「それではただいまより試験を開始する。試験項目には態度も含まれているため、試験が終わるまで決して問題を起こすなよ」

そう言った途端受験生たちの雰囲気が重苦しいものへと変わる。


刹那はといえば、

『態度?そんなものも試験に含まれてるんだなー』

いつも通り飄々とそんなことを考えていた。


「それではまず最初に魔力測定からだ。今から【ロークス】で四つの部屋のようなものをここに作るから、作ったら入り口に並べ。」


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ロークス

魔力で障壁を四方に貼り、外からは中の様子が見えないようにする魔法。

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試験官がそういうと、外で待っていた魔導士たちが4人入ってきた。

そして魔法を使う。

「「「「ロークス」」」」

そう唱えると、魔力の障壁が現れた。

『あの程度の魔法なら1人で四つの部屋を作ることぐらいできないのかね』

これは魔力量が人並み外れた刹那だから言えることだが、普通の人間であれば、作れて二つ、そして作れたとしても歩くのすら辛くなってしまう。


そんなことを考えていると、さあそれぞれの部屋の前に一列に並べ。

そんなことを言われているので受験生たちは急いで並び始める。

『俺はどこかの最後尾の方がいいだろうな』

なぜだか刹那には嫌な予感がしていたため、最後尾に並ぶことにした。

そして周りを見渡してみると別の列の最後尾にフレイアの姿を確認した。

向こうも此方に気づいてはいるが、別に何かのサインを出すわけでもなく、すぐに視線が逸れる。

そんなことをしていると、


「それでは1人づつロークスの中へ入れ、終わったら反対側から外に出るように。前のものが終わったら中の魔導士がロークスの前を開けるので速やかに入るように。それでは試験開始!」


その合図と同時にロークスの前が解放された。

そして刹那は

『【センシス】』

と心の中で唱えた。

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センシス

自分の五感を高める。唱えたものの技量によって強化の度合いが決まる。

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そして1人目の受験者が中に入り、10秒ぐらいすると、

「『905』」

という機械音声のようなものが聞こえた。

魔力を図るための魔力水晶の声だ。

『確かこの世界で俺ぐらいの都市のやつの平均魔力は500ぐらいだって言っていたからいい方なのか』

そんなことを考えながらも次々と受験者が試験を終わらせていく。

さすが覇王学園というべきか皆500は余裕に超えていて大体900~1500ぐらいの数字が聞こえてきていた。

すると自分の列ではない場所から

「『10002』」

と聞こえてきた。先程フレイアが並んでいた列のようで、最後尾にいたフレイアがもういないことから彼女だと推測できる。

『それなりに魔力量が高いことは分かっていたが、同級生の中では圧倒的だな。俺がいなければあいつが首席間違いなしだったんじゃないか?』

刹那がそんなことを考えていると、

「最後は君だ。早くしなさい」

と注意を受けてしまった。

「はい。すみません」

謝罪の言葉を口にし、刹那はロークスの中に入る。

「それではこの魔力水晶に触れて魔力を流してください」

「はい」

そういうと刹那は魔力を流した。

その途端、ピキピキと水晶にヒビが入っていき、

「『1000000(百万)』」

という機械音声を最後に水晶が砕け散った。

「は?」

試験官は呆然としているが、

『やっぱり最後尾でよかったな』


予想通りの結果だったので、刹那は表情ひとつ変えていない。なぜこのことが予想できたかというと蒼狐に弟子入りしたとき、最初に魔力量を測ったのだが、その時は数字のアナウンスすらなく、粉々に砕け散ってしまったからだ。今の刹那は封印があるとはいえ、その時よりも全体的な魔力量は多くなっているため、封印状態でも水晶を破壊しうる魔力を持っている。


刹那が試験官の言葉を待っていても試験官はずっと固まっているので、

「あの、魔力水晶を破壊してしまったら試験失格になるのでしょうか」

刹那の言葉に意識を取り戻した試験官は

「い、いえそうはならないと思います。前例がないので驚いていたと言いますか、、、」

『なんか師匠の時と同じような驚き方しているな』

蒼狐も水晶を砕いた刹那に心底驚き、

「この化け物には力の使い方を教えないとまずい」

といい、刹那を弟子にしたのだ。

「じゃあもう行ってもいいですか」

「は、はいどうぞ」

そんな会話の後、ロークスに出口ができる。

いまだに呆然としている試験官を放置し、刹那は外に出た。するとなぜかフレイアが駆け寄ってきて、

「遅かったじゃない。魔力の数値が低すぎて何回もやり直していたの?」

「いや、そういうわけじゃないさ」

フレイアの皮肉も華麗にスルーし、

「俺で最後みたいだな」

「そうね。魔力水晶を回収したら、もう一度ロークスの中に入って得意魔法を打つんだって」

「なるほどな」


フレイアと話していると、他のロークスから試験官たちが水晶を持って出てきているが、俺を担当した試験官だけ何も持っていないから、他の試験官たちに問われていた。

そこで俺が水晶を砕いたことを知ると他の試験官たちも大層驚いたようだ。

なんか小声で

「あの学園長すら全力の魔力を込めても壊れない水晶だぞ?」

「何か不正をしたんじゃないか?」

「いや、そんな形跡はなかった」

などなど好き勝手に話している。


「どうかしたのかしらね」

そんなふうに首を傾げて質問してくるフレイアに刹那は

「さあな」

と、とぼけて返し、前代未聞の入学試験は幕を開けた。


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後書き

どうもNASKAです。とうとう入学試験が始まりましたね。いきなり魔力結晶を壊すというめちゃくちゃぶり。こんなふうに刹那はどんなことでも飄々とこなしていくので乞うご期待ください。


ここで相談なんですが、コメントに「こういうキャラが欲しい」や「こういう魔法面白そう!」とかあったら書いていただけると嬉しいです。超序盤なのに作者の引き出しが空になりました。助けてください笑。

次回はついに得意魔法の発表です。もしかしたら試験官との模擬戦も一緒に書くかもしれません。私はストックなしに、その場その場で書いているので流れが変だったら教えていただけると嬉しいです。

ではこれにて失礼します。

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