第2章 頼るべきは友
第6話 おぱ声が長年の疑問を解決してくれた
翌日。朝から頭が疲れていた。
昨日、いろいろありすぎたせいだ。
おっぱいの声が聞こえるとか意味わからん。塩対応の幼なじみの本音も衝撃だったし。
昨日は悶々としていたので、気分転換にイラストを見まくった。
トリッターで、『#いいおっぱいの日』で検索するといいことあるよ。いいおっぱいだけに多幸感はハンパない。
お気に入りのイラストレーターさんの絵も最高だった。
らぶすかいさんというのだけれど、おっぱい絵がどちゃくそしこれる。おっぱいの質感は気合いが入っていて、神だと思っている。
あれでプロでないのが不思議なぐらい。
ならば、パイオツ星人ウイング様が育ててみせよう。
すばらしいイラストを思い出していたら、元気が出てきた。
さわやかな気分で家を出る。
うちは一戸建てで、
学校に行くには双空の家の前を通る必要があるのだが。
「そ、双空。今日も奇遇だな」
「べ、別に」
双空さん、塩対応のテンプレゼリフを決める一方で。
『翔、13時間と14分59秒ぶりに会えて、寂しかったよぉ。今日も、すこ。すこのすこ』
朝からデレまくっていた。
『いつもより9分28秒、遅いんだけど、翔、なにかあったのかな? 眠そうだし。おっぱい枕してあげたいなぁ』
(おっぱい枕ですって!)
ぜひともお願いしたい。
まあ、塩対応の仮面がある以上は、絶対にさせてくれないだろうけど。
ところで。
おっぱいの声のおかげで、長年の疑問が解決した。
双空が塩対応をするようになって以来、僕たちの関係は疎遠だった。
互いの家で遊ぶこともなくなったし、学校でも話さない。
それでも、通学だけは一緒だった。
僕が家を出ると、必ず双空が家の前にいるのだ。
しかも、偶然を装って。
僕が寝坊しても。
早めに家を出ても。
台風が来そうな天気でも。
偶然にしてはできすぎだと思っていたが、塩対応の幼なじみが僕を待っているはずはない。
そう思って、偶然で無理やり納得させていたんだ。
はからずも、おっぱいの声、略して、おぱ声で真実が明かされるとは。
(おっぱいは名探偵なんじゃね?)
双空さん、僕と一緒に探偵しません?
推理を披露するとき、双空さんは眠って、おっぱいにすべてを教えてもらう。
僕が双空さんの陰に隠れて、おっぱいの推理を人に伝えればいい。
名探偵おっぱい。ちょっとエッチなマンガにしたらワンチャン売れそう。
「翔、なにしてるの。学校行くよ」
「お、おう」
「あたし、勝手に学校行くから」
『翔、放置プレイ好きなの? 一緒にイキたいのに。あっ、妄想が止まらない。はぁぁん、イクっ、イクっ❤❤❤❤❤❤』
双空さん、澄ました顔をして、大変エロいことを考えておりますな。
ふと、思い出した。
あれは小2のときだった。双空と学校に行こうと彼女の家の前で待っていたことがある。
彼女は来るやいなや。
『翔、がっこうにいくのって、おとなだよね?』
『へっ?』
小1になりたての頃だったが、幼稚園児に比べて大人感はあったかもしれないが。
『だってぇ』
双空は目をとろけさせて。
『らめぇぇっっ! イグぅ❤ イグぅーッ❤ イグぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!』
ビクンビクン。
僕の手を握ったまま、事後の顔で痙攣したのである。
朝の通学路。大学生ぐらいのお姉さんが通りかかって、微笑ましい目を向けられたのだった。
幼少期の双空さん、エロエピソードに事欠かない猛者である。
過去の話はともかく。
学校までの道のりは歩いて15分。その間、僕たちの間に会話はほとんどない。
完全に冷め切った夫婦にしか見えないはず。
「翔、今日も蜜柑の胸を見るんでしょ?」
浮気する夫への皮肉のように思いきや。
『あのGカップがいいのね。あたし、16歳2ヶ月。まだ成長するもん。絶対にGカップになって、翔を喜ばせるんだからぁ』
双空が闘争心を秘めていると、誰が想像できようか。
昨日までは平凡だった通学路。
ありきたりの日常は、幼なじみの本音が聞こえるだけで変わったのかもしれない。
やがて、学校の近くへ。
駅から歩いてくる電車通学の生徒たちが合流し、一気に賑やかになる。
「しょうくん、そらさん」
後ろから呼びかけられて振り返る。
同じクラスの
茶髪のショートカットで、かなりかわいい。
「杏、おはよう」
「杏さん、おはよう。今日もかわいいね」
「ありがとう。そらさんこそ天然美少女でボク憧れてるんだよぉ」
杏と双空の絡みが尊い。てぇてぇ。
「杏、僕と結婚しよう」
「……それはムリだからぁ」
フラれた。
「あっ、そういう意味じゃなくって、しょうくんのことは好きだけど…………いまのボクは生物的には男だし」
杏は男の娘だった。
「それに、しょうくんには、そらさんが……あっ」
杏は慌てて手で口を押さえる。
今の反応でわかった。
(杏、双空の気持ちに気づいてたんだな)
男の娘の勘は鋭い。
「ところで、しょうくん、眠そうだね?」
「ああ。ちょっと睡眠不足で」
「なんかあったなら、ボク話ぐらい聞くよ」
杏は信頼できるし、相談相手にいいか。
「ありがとう。たいした話じゃないんだけど」
杏は僕の耳元に口を寄せてきて。
「そらさんのことなんでしょ?」
小声でささやく。
親友の観察力はすごい。
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