完結 白日

 西谷大地は入院をする。十代の入院の時を思い出す大地。悲しみと幻聴に対しての怒り。幻聴によって自信をなくす大地。

 入院中は、まるで外との一切の情報が届かなくなる中で、西谷大地と塩田恵は面会を重ねる。

「もう終わりだね?」

 面会中に幻聴の心ない言葉が。

 西谷大地は、もう小説を書く気力がない。

「大地を信じている」

 塩田恵の温かい言葉。

「もう、自分はどうなるかはわからない」

 西谷大地の弱った答え。

「まだ、生きたい」

 大地は恵に自分の言葉を伝える。

「大地とは、初めの頃こそ線を引いていたけど、今はないよ」

 塩田恵の告白。

「死にたい」

 西谷大地は精神的に弱っている。

 それらの言葉に恵は正面から向き合う。

「また、小説を書きたい」

 塩田恵は、西谷大地の言葉たちを元に『白日』という題名のひとつの小説を書き上げる。西谷大地が入院中に、塩田恵が執筆をしたものだ。

 『白日』に込めた恵の思い。小説の主人公がまた立ち直るという願い。それを西谷大地の姿に重ね合わせるというもの。

 大地の退院の日。

 これからも、塩田恵、彼女が西谷大地の白日となるだろう。

 いつか、西谷大地も小説を書けるように。

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白日の筆舌 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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