第26話

今までホブゴブリンを抑えるのに必死で見てなかったけど、横目で私は皆んなの様子を確認して愕然とした。

敵の後衛、魔術士達の魔力球がミヨとユナを捉えている。

ゴブリン(戦士)と戦いながら、魔力球の攻撃を受けてボロボロだ。

正直、ホブゴブリンをこれ以上独りで抑える自信も無い。

ここまでだ。


「皆んな! 逃げるよ!」


私は火線の魔法で敵を牽制する。

火を嫌がったゴブリン達が足を止める。扉に向かって走り出す。

私達は弱い。

だから逃げ足は早い。

逃げ慣れてるからね!


全員扉の外に出た。

ボスは部屋から出れない。

これは迷宮のルールだ。

だから外に出れば逃げられる。


私達は扉の外で座り込んだ。

今回は完敗だ。

作戦ミス、準備不足だ。


「ごめん。ホブゴブリン、抑えられなかったよ…」

私は項垂れて、謝った。

杖術習って、調子に乗ってたんだ。

ちょっとだけあった自信が無くなった。


そんな私を見てユナが。

「対ボス戦の作戦を立てましょう。今の経験を活かして、どうするか考えましょう」


ユナの提案を受け入れて、私達は迷宮から出る事にした。


地上に出た私達はバッテバテだった。

とりあえず、解散して明日また集まって作戦を立てようって事になった。


宿に帰って、私とミヨとユナはベットに横になりながら話し合う。


「ヤバいね、あれ」


「ええ。ゴブリンだけなら何とかなるんだけど、後衛からの魔術までこっちにくるから流石に厳しいわね」


「そうですね。私も前衛でゴブリンを抑えるのに精一杯で回復もまともに出来ませんでした」


ホブゴブリン、今の私にとってはかなりの格上だ。

まともに受けたら吹っ飛ばされるし、全てを受け切るのは無理。

でも、前衛を抑えない事にはどうしようもない 。


「先制した時にさ、ホブゴブリンを倒せなかったのが痛いよね」


「回復されてしまったものね」


「回復役から狙うのがセオリーでしたね」


ゴブリン(戦士)や(僧侶)なら、少し強いけど、ゴブリンはゴブリンだ。

普通のゴブリンなら魔力球2発で倒せるんだし、多くても4発当てれば倒せるだろう。


「じゃあ、まず先制で回復役を潰す。で行こう」


「賛成」×2


あとは前衛を抑える方法だね。


「私達、基本魔術士だし、接近戦して抑えるのは厳しいと思う」

ミヨの言うことはもっともだ。


「1体1は無理って思った方が良いよね。私達3人で固まって、相手の前衛を足止めする様にしないとだね」


「魔術士なんだから魔法で足止めが良いと思います」


ユナの言葉で私は思い出す。

火線の魔法で敵は足を止めた。

火は苦手のようだ。

なら、火線を使うとして。

私の課題は持続時間を長くする事。


「ミヨ、昔考えてた水流さ、あれ使えないかな?」


「あー、あれね。そうね。今なら魔力も上がってるし勢いのある水が出せるかもしれないわね。あれで敵を押し戻すって使い方かしら?」


「良いですね。それでも抜けてきた相手を私が棍棒で迎撃するって事でいかがでしょう?」


大体の方針は決まった。

あとは、装備の更新ね。

私達、ローブしか着てないけど。

ここは防御力を上げるためにも革の鎧を買ってみよう。

魔法使いだからって、装備出来ないわけじゃないし。


明日皆んなで話し合って、その後は買い物に行くことにして私達は眠った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る