第25話
私達は何度も地下1階を周り、階段を探した。
ユナは行った事があるけど方向音痴で、近くまで行かないと分からないんだって。
地図の管理も、あの魔術士がしてたみたいだから仕方ないのかもしれないけどさ。
でも、遂にユナのセンサーが働いた。
「あ! ここ! この先に階段の部屋が有ります!!」
階段が有ると言う部屋。
前には石造の思い扉が付いている。
開けようとしてもびくともしない。
ユナが、真ん中の窪みを指差す。
「ここに宝玉を入れないと開かないんです」
なるほど、その宝玉とやらをボスが持っていると。
「ボスは何処にいるの?」
「こちらの部屋です」
真正面の扉に目を奪われて気が付かなかったけど、右手に扉が有った。
少しだけ豪華な扉だ。
皆んなを見回す。
「準備は良い?」
「私はルミに付いていくだけよ」
ミヨが私の横にくっ付く。
「私もです!」
ユナがくっ付いてきた。
両手に花…?
男達が羨ましそうに私を見てるけど…私、そっちの趣味は無いのにな。
思いっきり力が抜けたので、そのまま扉を開ける。
うーわ。
初めてホブゴブリン見たわ。
大きい。
大人の大柄な男と同じくらいある。
肌の色が緑じゃなくて赤っぽい。
ゴブリンの上位種。
革の鎧を着て、手には銅の剣を持っている。
強そう。
そして、周りにはゴブリンが5匹。
でも、あれって。
2匹はボロボロの銅の剣を持っている。
ゴブリン(戦士)と名付けられた魔物だ。
そして後衛には。
木の杖を持った二匹。
ゴブリン(魔術士)だ。
属性は持っておらず、使える魔術は魔力球だけと聞いている。
最後に、スティックを持ったゴブリン(僧侶)だ。
バランス良いなぁ。
ボス部屋に足を踏み入れると、こちらを値踏みする様に睨みつけてくる。
私は魔力をいつもより多めに込めた、ふぁいあーぼーる(大)の準備をしながら隣を見る。
ミヨはおそらく、濃霧の準備してるし、ユナはメイスを構えて迎撃の構えだ。
他の皆んなも魔力球の準備をしてる。
「濃霧!」
良し、相手の視界は塞いだ。
撃つよ。
「ふぁいあーぼーる(大)!」
「魔力球!」×3
倒れろ! ホブゴブリン!
全弾直撃。
え、生きてるの!?
「ガァギョギョ」
回復魔法!?
そっか、僧侶いるんだった。
て事は、振出に戻った。
でも、先制のアドバンテージが消えただけよ。
まだまだこれから。
そう思ってたけど、甘かった。
敵の前衛が突っ込んでくる。
私はホブゴブリンを抑えにまわる。
銅の剣を振り回してくる。
早いよ!
何とか杖で弾いたけど、手がビリビリする。
あ、これまともに受けたら吹っ飛ばされる。
と、思ってたら横凪に振られた剣を避けられなくて、杖で受けた。
ガン!
うわ。
私は案の定吹っ飛んだ。
でも、直ぐに立ち上がる。
こっちに向かってくるホブゴブリンに火花を使う。
目を眩ませた。
チャンス!
「ふぁいあーぼーる」
当たった。
少し時間を稼げる。
お願い、抑えてる間に後衛を倒して!
あんまり保たなそうだけど…
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