第21話
周りからガサゴソと音が聞こえてきた。
これって、もしかして…
うん、思った通り。
巨大蟻だ。
見張りは…居ないよね。
思った通り。
囮にされたんだね。
そんな気がしてた。
ユナは混乱している。
「見張りをしてる皆んなは!?」
多分、今頃逃げてるよ。
さーてと、どうしようかなって逃げるしかないんだけど。
私はユナを落ち着かせる。
「あなたの仲間はきっと大丈夫。私達も逃げよう」
ユナは気を取り直して、現状を把握してくれたみたいだ。
「ミヨ、どうしよっか?」
「そうね…。私の濃霧、あと1回くらいは使えるから、それで逃げようか」
「オッケー。あとは全力ダッシュだね」
皆んな頷いて準備する。
「いきますよー! 濃霧!」
ブワッと霧が出た。
ミヨ頑張って、広い範囲に出したみたい。
なんかミヨってどんどん成長してくな。
っと、そんな事考えてる場合じゃない。
痛みを堪えて、全力ダッシュだ。
皆んなバラバラになって街を目指して走る。
ミヨは痛みで遅れがちな私を心配して、隣にいる。
自分も手が痛いだろうに。
持つべきは友達だね。
ユナも私達を振り返りながら、少し前を走ってる。
ほんとに良い子ね。
走り続けて、息が切れた頃。
なんとか蟻たちを振り切っていた。
「はぁはぁ…」
息も絶え絶えだ。
でも、森を出るまであと少し。
森の浅いところだし、大丈夫だろうってタカを括ってたら。
はぐれゴブリンだ。
1匹だから、いつもなら獲物なんだけど。
3人とも魔力も殆ど残ってないし、怪我もしてる。
仕方ない。
それでもやるしかないね。
私は杖を構える。
ユナはスティックを構える。
ミヨは手を怪我してるから下がらせた。
「援護よろしく。石、拾って投げて」
私とユナで前に出る。
幸いゴブリンは素手だ。
私は槍のように杖を待ち、なるべく離れた位置から攻撃する。
頑張ってゴブリンから距離を取る。
近寄られたら危ないしね。
ユナは隙を付いて近寄り、スティックで殴る。
気を逸らしたら、私が杖で殴りつける。
本職の前衛じゃないからダメージは微々たるものだけど。
後ろからミヨが頑張って石を投げてる。
ノーコンだけどたまに当たってる。
「ギギィ」
ゴブリンが叫びながら殴りかかってくる。
やっぱり、ちょっとは怖いけど。
近寄ってきたら、同じくらい下がって、杖で突く。
何度も繰り返して、喉に当てた時に良い手応えを感じた。
やっとゴブリンを倒した。
魔法無しだと、さすがに辛い。
討伐証明の耳も取らずに、今度こそ私達は森から脱出した。
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