第10話

ゴブリン三匹。

私達は一人倒れて、レベル1魔術士五人。

くそっ。

女は度胸!


何とか棍棒を捌いていると。

後衛の魔法がくる。


「濃霧!」


「魔法球!」


おいおい。

ミヨさん、それって霧吹きみたいな…

あれ?

霧だと?

前見えない。


「皆んな下がって」


とりあえず、後ろに下がる。

走って距離を取る。

ミヨしゃん、いつの間にちゃんと使えるようになったのよ。

距離を取ればこっちのもん。


「ふぁいあーぼーる!」


「魔法球!」×4


よっしゃ、二匹屠った。


私、ちょっと油断してたね。

残った一匹が突っ込んできた。

錆びたナイフが私の左手を切った。


「きゃ!」


女の子みたいな悲鳴出しちゃった。

女の子だけど。


「ルミ!!」


ミヨさん、怒ってはる。

いやん、友情を感じるわ。

なんてバカな事を考えてないと、痛くて泣きそうなのだ。

もう泣いてるけど。


残りの一匹を片付けて、私達は倒れた魔術士の様子を見る。

ダメかなって思ったら、まだ息がある。

ホッ。

引きずって、セーフティルームに入る。

勝手にセーフティって言ってるだけで、偶には敵が出る。

でも、いつも周りに敵が出なくなるのはミヨが統計?とか何とかで分かってるとか何とか?


とりあえず、そこでキャンプする。

意識のない仲間にポーションを飲ます。

私も血が止まらないから、水で洗って、薬草を貼り付けなきゃ。


と、思ったところでふと気がついた。

あの儀式すると魔力が上がるのよね。

どうせ血垂れてるし。

今はキャンプ中。

あの図形の紙も持ってる。

ものは試しでやってみよう。


ポタポタっと流れる血で図形と文字を書く。

真ん中に座って祈る。


(もっと強くなりたいです!)


今度は直ぐにお腹が暖かくなった。

来た!って思ったらフラッとした。


ミヨが心配して近寄ってくる。


「バカ! こんな時に何やってんのよ!」


怒られて、傷を洗って薬草を巻き付けてくれた。

あんた、面倒見良いね。

ポーションまで飲ませてくれた。

これって銀貨五枚もするんだよね。

後で返さなきゃ。


意識が無かった男も何とか歩けるようになったので、今日は引き返す。

途中で大蝙蝠が出たけど、そのくらいなら余裕。

倒して出口に向かった。


今日は薬草採取には行かなかったから、ゴブリン×4と大蝙蝠を倒した報酬だけだ。


でも、傷が治るまで七日くらい働かなかったけどね。

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