第5話

私達は鬼が経営している銭湯に入る

角の生えたおばちゃんがコクリと私たちにお辞儀してきた


ここは、鬼専用の銭湯

なんか人間が鬼となんかと一緒に入れるかといって別にしたらしい

罪人の意見が通るとは、世も末


まぁ、それは別にいいのだが

予算削減のため混浴にしていたのっていうのが、許せない

作ってくれただけマシだとみんなは言うが

私は絶対に許せない!!


まぁ、この銭湯は石の壁を作る鬼才を持った鬼のおかげで男女で分かれている


だから、女の鬼はここの銭湯にしか来ない

例え、どれだけ遠かろうがここにくるのだ


勿論、私も例外ではない


ちなみに、水もすべて人間が管理しているため鬼の家には湯船やシャワーはない


あぁ、風呂入ろう

疲れた


私達は脱衣所に入り、服を脱ぐ


「でー?そんなに強かったのー?その魔獣」


私はコクリと頷く

今まで戦った中では一番強かった


「はー。そりゃ、やばいねー。」


私達が扉を開くと湯気が流れ込んできた

次第に湯気が消えていき、青い空と大浴槽が目に入る


清掃がきちんとされている床をペタペタと歩き

体を洗おうとシャワーヘッドを取る


「いいよねー。露天風呂ーー。このまま、外に駆け出したくなる」


ちょっと何言ってるかわかんないな


「じゃ、行ってくるー」


私は、本気で行こうとしていた友人Aの手を掴み引き止める


「リリちゃんも行く?」


私はブンブンと首を横に振った

すると、友人Aの目は私の胸にいく


「揺れっ・・・・・本当に大きいわね。それ」


友人Aは私の胸を指差し、赤い目をきらりと光らせた


「揉んでいい?」


私はフルフルと顔を横に揺らすが、友人Aが問答無用で揉んでくる


「これが私の求めるもの。やわっこい」


私は迷わず、友人Aの首根っこを掴みそのままお湯に沈める


「ブォコボコボコボコボコ」


痙攣し始めたくらいでやめてあげた


「ガハッ、し、死ぬかと思った」

「・・・体洗ってくる」

「ちょまち、髪手伝うの忘れてない?」


そう言うが私は問答無用で離れようとする


「・・・いい、いらない」

「そんなこと言わずにさー。ほら座って座ってー」


友人Aは私の手を引っ張り

椅子に座らせられる


すると、すごく冷たい冷え切った水がシャワーから出てきた


「ひゃあ」


私はあまりの冷たさに声が出てしまった


「え?かわいい。」


友人Aは、自分の手で自分の口を隠しそう言った

すると友人Aがニヤリと笑い、私の体を触りはじめる


「やめ」


友人Aがすごいおっさんくさい顔をしていた

私はそれに嫌悪感を感じた


だから、私は持ち前の運動能力を生かして

友人Aが持っていたシャワーベットを奪い

友人Aの体にホースを巻き付け

温度を最低にしてから

シャワーヘッドの向く先を友人Aの身体に向けた


「ギャァぁぁぉぁ、冷たいいいいいい」


冷たい水をかけられ続ける友人Aの顔はとても醜く

私は悪魔を聖水で浄化しているエクソシストの気分だった


「ごめんごめんごめんごめんーー。あ、慣れた」


何!

早い


私はそのまま逃げるように他の洗い場へと移動する


「ねー。洗わせてよー」


・・・まぁ、許してあげるか

私はホースの紐を解くと、友人Aが私を押し倒して抱きついてくる


その体がものすごく冷たい

しかし、声は我慢した


「柔らか暖か」


といい友人Aが気持ち悪い顔を私の上でする


「・・・とにかく洗うなら洗って」


私は、友人Aを少し強めに投げ飛ばし、風呂用の椅子、名前は忘れたがアレに座る


友人Aが戻ってくる


私は警戒して友人Aをにらみつける


「もう何もしないから。髪の毛洗わせて。ね?」


さっきとは別人のような真剣な態度だ

文献による先っちょだけ男を連想するが私は許す


何かされればまた投げ飛ばせばいいだけだしね


友人Aの豆だらけの手が私の髪をスラスラと滑らす


「・・・お疲れ」

「はいはい、リリちゃんもねー」


こんなふざけた性格をしているが一応鍛冶屋として、命懸けの生活をしている


この手の豆がその証拠だ


鍛冶屋は私達とは違って精神を削り、鬼の武器を鍛練する

武器を破壊してしまえば、死罪


鬼の命より武器の価値の方が重いのだ


どれほどのストレスとプレッシャーがこの小さな身体にかかっているのだろうか


「・・・小さいのに大きいよね。」

「だーれの胸が小さくてー。だーれの胸が大きいのかよく聞き取れなかったなー」

「・・・そんなこと言ってない」


頭の中は少しおかしいけれど、そうでもしないとやってられないのかもしれない

いや、でも小さい頃からこんな感じだったな

関係ないな、確実に


「でも、こんなにいっぱいリリちゃんが話してくれるなんて初めてじゃん。やっぱり、あの男の子のおかげ?」

「・・・ペア行動は会話が必須。・・・強いて言うなら司令官のおかげ。・・・会話を繋げることに苦戦したし」

「冷めてるわねー。でも、自分から会話を続けさせようとするのは初めてじゃん。偉い偉い」


フィルじゃなかったら、こんなに話してなかったかもしれないという事は伏せておこう


友人Aの脳みそはピンク色のお花畑でできているからな

恋愛にすぐ結びつけてくる


友人Aが知らない男に代理告白したのは今でも忘れられない

被告の主張)目が合ってたから


それに私のことを子供扱いしてくる

見た目は自分の方が幼い癖に


「はい、終わったよ」


私は友人Aに泡を流される


「・・・もう行くね」

「うん」

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