第4話

この任務で2人の仲は縮まり、気軽に話せるように・・・・・・・なったわけではなかった


私は、無音のヘリコプターが飛ぶ前に話を切り出し沈黙を生まないようにしようと思い


「・・・青角似合ってるね」


と言った

コミュニケーションは外見からと本に書いてあったからだ


「え?あっ、ありがとうございます」


 フィルが微妙な顔をして頬をポリポリとかく

よし、喜んでいるな

よしこのまま、会話を続け・・・


「リリは黒角なんですね!似合ってます!」

「・・・そう?・・・私は似合ってないと思うけど」


 はっ。私の馬鹿ぁ

なんで、コミュニケーション能力を鍛えておかなかったんだよぉ

褒めてもらってるのにそれを否定すると相手が困るだろう


否定的な言い方になっていることも問題だ

どう挽回しよう


そもそも、挽回はできるのか?

無理


・・・もういいか。この任務だけの付き合いだ、うし、この前の集団任務と同じように置物になろう!


 それに会話してくれるのは嬉しいけど敬語が治らないってことは、フィルも緊張してしまっているということだ。

つまり、私が置物になれば万事解決というわけだ


 私に異性の友達など100万年早かった


そう諦める理由をつけて、全てを投げ出そうとしたがフィルは私の言葉に慌ててしまったようだ


「黒角の方は初めて見たので・・・。羨ましいです。僕はこの通り青角なので」


正直言って助かったが

何が羨ましいのだろうか。


「・・・羨ましい?なんで?」

「え・・・?」


 呆れ気味にフィルが首を傾げた

呆れ顔が美人だ

この呆れ顔だけで何人の女を落とせるだろうか


うちの知人にもよく注意するように言わなければ


 そんな風に考えてしまい怪訝な目をしていた


 それに気づかれたが、フィルの目はなぜか太平洋を横断する勢いで泳いでいる


 そうすると急にフィルが何かを思い付いたように頬を叩く


「えっと。角の色のこと知らないんですか?」

「・・・・・・・知らない」

「常識ですよ・・・・」


 この2人に沈黙が生まれる

そんな事、教わってない


 そうですよ。そうですよ。生産職の鬼しか知人はいませんよーだ


「・・あっ、いやあのですね。鬼には強さの階級があって、黒角>紫角>緑角>黄角>赤角>青角>白角という感じで分けられてるんですよ」


「・・・・・・・初めて知った」


 私が一番上なのか

 実感は全くないけど

角の色で階級を判断するのはどうかと思う

外見でしか判断できないのは、二流三流だけだって師匠も言っていたし


なんなら、私よりフィルの方がおそらく倍近く強い


前線にでない人間たちならまだしも

 最前線に立つ、鬼たちが角の色を気にしていたら、いい色の鬼が慢心してしまい油断し命を落とす

いらないだろう


 それとも人間が私達を売買するときの価格を色で選別してるってことか?


「・・・どうでもいいけど」


いや、会話的にはどうでもいいで終わらしちゃいけないわ!


 会話終了・・・

死の間が開く


私はどこから間違えた?


 いや、さっきからめっちゃフォロー入れてきてくれただけで最初から間違ってた気もする


 10年間、友達がいなかったことが裏目に出たか

頭を使いフル回転で次の話の種を考える

いや、さっきの話題を続ける方の方が良いのか?

でも、私はあれ以上ああいう話をしたくない


そう思いながら、私は眠ってしまっていたようだ


「起きてください。着きましたよ」

「ん・・・」


私は目を開くと、基地についていた

そんなに疲れることしてないのに眠ってしまっていたようだ


「着きました」

「・・・うん」


私は、目を擦りながらヘリコプターを出る


『おかえりなさいませ、鬼の角と武器は回収いたしますケースの中に入れてください』


躊躇してしまう私の代わりに

フィルがケースの中に武器と角を丁寧に入れて、手を合わせる


「・・・ありがと」

「行きましょうか」

「・・・・結局、敬語直らなかった」

「あ・・・」


忘れてたようだ


「ご、ごめん」

「・・・・気にしてない」

「は、はい」


黒い頭をぽりぽりとかきながら歩いてくる

そして、私達はエレベーターに乗り込む


一階のボタンを押す

そこで私は会話の存在を思い出した


あの後は、一言も話していない

寝たフリは有効なのでは?

喋らなくても相手も私も気にしない


私は最強の武器を手に入れた

とアホらしいことを考えていたら


一階に着く

すると、小柄で小学生くらいの外見の赤い髪と赤い目、赤い角が妙に目立つ女子がいた

私の知人Aだ


「おかえり、リリ。」

「・・・ただいま」


帰宅の挨拶をすると

知人Aは、なぜか固まっている


「り、りりりりり、リリちゃんが喋った!!隕石が降ってくる。まずいいぃ」


失礼だ


「こ、こんにちは?リリーのパートナーです」

「リリちゃんが旦那連れて帰ってキタァァぁ」

「・・・落ち着いて」


知人Aが、ニヤリと笑みを浮かばせ騒ぎ始めた

昔から察しが良くて、唯一私の周りに残ってくれていた子だ


だからわかる。

最後のはわかってて騒いでいたパターンだ


知人Aの細い首を締め上げ、持ち上げる

何も食べていないのかと疑うほど軽かった

それに加えて、フィルは死ぬほど挙動不審に私を止めるべきかやらせてあげるべきか迷っている


その結果、周りにいた鬼たちに「あれ、見て、浮気?」「あの鬼、イケメンだからって美少女二人の二股なんかするから」などと言われていた

・・・無視しよう


「ギブギブギブギブ、ごめん。からかってただけだからぁ、死ぬ死ぬ死ぬー」


私は知人Aを離してあげると地面に潰れるように落ちる。

すると知人Aはケロっとした顔でフィルの前に立ち見た目のロリと反して淑女的なお辞儀する


「あ、リリのパートナーさん。私は、趣味は家事、特技は鍛治。家庭的なえ、Bカップの少女のレヴィ・シルバ!!」

「あー、ヘリコプターの時の自己紹介この人の受け入れだったんですね?」


フィルが、その時私が書いた自己紹介の紙を痴人Aに見せる

私は恥ずかしいことをして後悔していたので思い出さないで欲しい

ましてや、持ってこなくていい

その紙捨てて、お願い


そんなことを思っていたら

今度は知人Aが私の首を絞めてくる


「あ、あんた!!この前、Fだったじゃんなんでまた大きくなってるのよーーー。私ただの道化じゃん!!」


フィルが気まずそうに頬をぽりぽりとかく

すると周りはさらにヒートアップした

「見てみて、攻守交代よ。」「あの男、クズねー」「何渡したんだ?」

フィルの地雷踏みが周りに影響を与える


「・・・胸は邪魔」

「殺すわよ」


首の締めが強くなる

知人Aの腕をポンポンと叩き、ギブアップの意を伝えると


知人Aが急に私の胸を揉む

手つきがいやらしく、慣れてる感があった


この子もしかしていつも自分の壁を・・・


「それになんでこんな破廉恥な恰好してるの!!背中丸出しじゃん。それにポロリそう」

「・・・師匠が言うから。・・・それに動きやすい」

「あんた周りからなんて言われてるかわかる?!」


私は首を横に振る


「童貞殺しよ。童貞殺し。羞恥心を持ちなさい」

「・・・それくらい持ってる」

「嘘言いなさい!!この前だっ・・・」


「ん。」


あっ、まずい

くすぐったくて声が出てしまった

これは知人Aに勘違いをされ・・・

案の定、知人Aはにやりと親父くさい笑顔をしていた

胸を揉む速度が上がる

くすぐったい

笑ってしまいそうだ

周りは「なにやっているの?あれ?」「きっと男の性欲が集まるあの胸をもぎ取ろうとしてるのよ」と騒いでいる

そんな空気に耐えられなかったのか

フィルが知人Aを引き剥がす


「あーー、任務の報告に行き・・くよ。リリー」


顔が真っ赤になっているフィルが私の手を引っ張り、司令室へと連れて行こうとする


「ウブねー。恥ずかしがっちゃって。かわいー」

「いえ、貴女には別に・・・」

「あ??」


知人Aは、鬼のような表情でフィルを睨んでいた

あの赤い目からは火が出そうだな


フィルと知人Aが言い争いしてるのを眺めていた


「そんなことよりさー、リリちゃん。一緒にお風呂入りに行こーよー」


そうしたら、私に話が振られた


「・・・・一人で入るからいい」


そう言って報告の前に風呂場へ行こうとすると視界に知人Aが割り込んでくる


「ふーん。寂しかったんだ〜。二人で喋っちゃってごめんねー」

「・・・・別に」

「え!リリー、本当?」

「・・・・違う。」


私の髪は、やたら長いから洗うのに時間がかかる

一人の方が気負わなくて済むから


「髪の毛なら私も手伝うよー」


こいつ、思考が読めるのか?!


「・・・・他の人にやってもらうからいい」

「え、リリちゃん私以外友達いないじゃん」

「・・・友達?」


私は、友人Aと友達だった

今、思い出した

ぼっちじゃないかった


「・・・髪の毛洗ってくれるなら一緒に行く!」

「よーし、いい子だー。そう言うことだから、報告後にしてあげてねーモブ君!」


フィルのこと、モブ君って・・・


「わかりましたよー。僕も風呂入ってくるんで」


フィル、怒ってもいいと思う

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