S11 父の研究資料の奪還 2月19日

――郷宮市 南西地域:アパート――


▶幣原が住んでるアパートの、月奈の部屋と繋がっている部屋の隣の空き室にテオミクが待っています


テオミク「隊長さん、依頼を受けていただきありがとうございます。苞星に移転したので郵便に直で入れさせていただきましたが、受けていただけるとは思ってなかったです」


澪和「ええ。周りとも相談しましたが、受けるのが最善と判断しました」


テオミク「ありがとうございます。一応ですが、今回の依頼内容をもう一度説明しますね」

テオミク「父、プロティンの生体データは冬泉にはもうありませんでした。どうやら、現在は滋賀県の愛荘町という場所にある皇の研究拠点に安置されているらしいです。父の研究データは非常に重要なものですので、父本人たっての希望で父が管理をしたいのです」

テオミク「危険な任務になるとは思うのですが……、皇の研究拠点に潜入してデータを奪還してもらいたいのです。大事にしたいわけではないので、逃げてもらっても当然構いません」


空「潜入任務ですか、見つからなければどうという事はないですね。見つからなければ」

幣原「危険な任務……でも、受けた以上はやりきらないとかな」

みあ「まあみあたち探しものも得意らしいのでー」


澪和「話し合いで決めたので。忍峡くんも電話したら来てくれるらしいです。お願いって言ったら紅葉とか関係なく来てくれるみたいで。嬉しいですね」


空「なんてお優しいのでしょう。危険な任務ですし是非お力添えしていただきたいですね。さあ、みあさん」

みあ「じゃあせっかくだし呼んじゃおっか。その感じならもうこっちに来るか、苞星の人になっちゃったほうが楽そうだね」

海堂「まぁ戦力になる人材は多いに越したことはないですしね」


――郷宮市 南東地域:金融街雑居ビル4F――


▶治安の悪い街並みを潜り抜け、個室風俗のテナントがひしめき合っているエレベーターのないビルを駆け上がります。中に入り、こじんまりとした部屋にワープが出来る機械がぽつんと置かれていますね。忍峡も向かう途中で合流しました


澪和「それでね、お父さんが鬼滅勧めてきたのに一番好きなキャラクター堕姫ちゃんって言ったらお父さん鬼滅見せてくれなくなって……。ひどいと思わない?」


みあ「なんか遊郭をテレビでやるのは子供に良くないって言ってる人がいるらしいよ。そんなの気にしないのにね」


澪和「有音くんはどう思う?」

忍峡「えぇー……、その、えっと。女の子がリアルでお腹冷やすようなのは良くないんじゃないかなあ、って……。その、はい」


テオミク「こちらに入ると、近くの東近江市に出ます。そこからは苞星の人間が車を出してくれるそうなので、近くの山側から建物に侵入する形になると思います」


空「手厚いサポートに感謝ですね、無事に済むといいのですが」


テオミク「詳細は運転手に聞いてください。私は機密の観点から何も知らされていません……。私はワープ装置の維持と防衛を兼ねた通信手ですので、こちらで待機します。――無理はしないで、戻ってきて下さいね」


幣原「それだけ厳しい、ということ……。私たちは今まで失敗していないですし、今回もいけます!」

海堂「ワンミスで死ぬような世界ですけどね」

みあ「慢心だー」

幣原「さすがに言い聞かせるくらいは許してほしいかな……」


――滋賀県 東近江市 一軒家――


▶庭が広く、和風なタイプの一軒家の中のような場所に辿り着きます。襖がガラガラと開き、女性が入ってきます


百瀬「こんにちはー……。今回愛荘町まで送迎をやる百瀬朋花ももせ ともかです……。短い間ですが……お願いします、ね?」


澪和「第88小隊隊長の十寸鏡です。送迎、お願いします。こちらとしては、場所もわからないので」

海堂「――どうなってるんだ、とは聞かないべきなんでしょうね……」


百瀬「ええ……。ご存知かもしれませんが、来玖も一緒ですよ。こちらとしても、譲れない事情がありまして」


空「お知り合いなのですか?」

海堂「いつもの方々ですよ……。説明するのもおかしくなりそうです」

忍峡「この方も、その来玖らいくって方も紅葉の英雄っすね……。英雄図鑑に書かれているような人達ですよ……」

凛「色々ふくざつだねぇ……」

空「まぁ。紅葉も大変ですね」


百瀬「私が宅配のトラックを運転しますので、荷台に入って下さい……。通常の宅配を私が渡している間、潜入をお願いします」


みあ「思ったより普通の潜入だね」

空「荷台のダンボールを使えばいいのですね、やはり必需品です」


――宅配のトラック――


百瀬「知っての通り……、私紅葉だったんです。ブラックだな、とは思ってたんですがお給料も出ますし仲の良い友人もいて」

百瀬「でも……、仲の良い友達。死んじゃったんですよね……。少しは、尊敬してた人に殺されて」

百瀬「何を信じればいいか、わかんなくなったんですよね……。別に紅葉じゃなくてもいいや、というか……」

百瀬「すいません。そろそろ到着しますから、裏口からこっそり入ってください。私が荷卸をしている時に紛れるとわかんないと思います」


――滋賀県 愛荘町 粧積院しょうせきいん――


空「私から見れば、紅葉は皆さん優しくて居心地のいい場所に感じましたが。どこも組織というのはわからないものですね」

みあ「どこもかしこも大変だねえ」

凛「そういうことにならないように、気を引き締めていこうね」

澪和「では、突入します!」


――滋賀県 愛荘町 粧積院:離れ――


▶足音の様子はありません。掛け軸と、くちゃくちゃの布団が置かれています。漫画本が散乱していますね


▶澪和 動体視力

 成功

▶空 見切り

 成功

▶凛 哨戒

 成功


みあ「ねえ思ったんだけどさ、みあたちここ来たことない?」

澪和「どうでしょう。見覚えはありますが……」

みあ「前に深角のおじさんに連れてこられたのも同じ県、同じ市の皇の家じゃなかったっけ?」

空「ここ、ですか?覚えていますか?姉様」

凛「あー、そういえばそんなこと言ってたかもしれないねぇ」


▶足音がダダダダと聞こえてきて、制服の少女がドサドサと入り落胆したように床の惨状を眺めます。あなた達は見覚えがありました。皇鷺ですね


鷺「やっぱり掃除されてなーい。おじさん鬼畜~」


▶鷺は渋々と言ったように掃除を始めます。鷺の私物と思われしものは大量に出てきましたが、重要そうなものは1つもありませんでした


澪和「掛け軸の裏って結構狭いんですね……。ごめんね?」

忍峡「い、いえその……。こちらこそすいません」

空「姉様、ダンボールは無敵です、インヴィジブルです」

海堂「なんでこんなことをしてるんだろうか……」

幣原「潜入捜査はちょっと面白いかな……」


――滋賀県 愛荘町 粧積院:渡り廊下――


▶何処かすり足のような音が聞こえる気がします。渡り廊下の下は空洞になっているようで、少しの隙間があるようですね


▶澪和 バランス

 成功

▶みあ 火薬知識[卒論]

 成功

▶海堂 バランス[単位]

 成功

▶男がすり足で歩いてるのが見えます。その顔を見た瞬間忍峡が驚愕の表情をします


忍峡「あ、あの人……棗さんっすよ。紅葉の英雄といえば!みたいな……。なんであの人がここに……?」

澪和「英雄のバーゲンセールだね」

みあ「図鑑できるくらいにはいるってことだもんねえ」

空「英雄もいるなら、ますます見つかるわけには行かなくなりましたね」

忍峡「あんな人にバレたら俺らの心臓動かして帰って来れないっすよ……」

凛「こわー……ハイリスクすぎる……」

海堂「見つかったら意識がなくなっててもおかしくないだけに、なんでこんなところに?」


――滋賀県 愛荘町 粧積院:居間――


▶い草の和室ですね。階段箪笥があったりします。何処かバタバタとした音がしますね


▶澪和 裁縫

 成功

▶幣原 日本文化[宿題、啓示]

 成功

▶空 視線[宿題]

 成功

▶みあ カメラ[卒論]

 成功

▶凛 裁縫[啓示[終わりなき病の処方箋]]

 成功

▶家探ししながら様子を伺っていると鷺が制服でおずおずしながら、何故か鹿狩瀬と共に部屋に入ってきます。鷺が正座したくらいに、棗も入ってきますね


鷺「え、えと……。よ、ようこそおこしくださいました?」

鹿狩瀬「お嬢……。すいません。こういうお方で」


棗「問題ない。こちらの要求は2つだ。――それより、何故鹿狩瀬がいる?」


▶鹿狩瀬はああ、と言った顔をすると顔面をバリバリとめくり深角に戻ります


深角「ああ……つい癖で。棗さんともあろう方にバレないなら情報の精度も信用出来るかと」


棗「……なるほど。相変わらず趣味の悪い。――桔梗についてだ」

棗「苞星の台頭で紅葉は規模縮小をほぼ余儀なくされていてな。こちらのチームでもある桔梗お嬢様が穏健派の皆様と同盟を結びたがっているってわけだ」


鷺「お姉ちゃん紅葉にいるの!?」

深角「なるほど。確かに悪くはない提案ですね……」


――滋賀県 愛荘町 粧積院:客間2――


▶会議が始まったのを見ると程々で抜け出して、別の部屋に逃げ込みます。静かな部屋で、普通の和室といった印象です。澪和は和紙で出来た書類を雑に持っています


澪和「なんかよくわからない話してましたけど……なんかありましたね」

澪和「わからないし、全部持って帰れば依頼終了かな」


海堂「俺たちが聞いたところで交渉の材料にすら出来ませんよ。今のうちに見つけたものを纏めておくべきです」

みあ「まあ最悪間違いでも返せるしねえ。怒られるかもだけど」


▶みあ 交渉[卒論]

 成功

▶凛 元リンク[人脈[傀逅]]

 成功

▶幣原 儒教[宿題]

 成功

▶フェイと書かれていたり、プロティンの文字があることからこの書類だと間違いなさそうです。更に詳しく書類を見ようとすると、煙が目に入り、あまり先が見通せなくなります。寺が燃えているようですね


鷺「うわわわ……!?私の東リベが燃えてる……私のお小遣い……」

深角「敵襲だ!!!!!!総員お嬢を守れ!害敵を滅せよ!!!」


忍峡「うわ、ちょっとやばい状況っすね。一応小細工しときますよ」


▶忍峡 カモフラージュ(全体の見た目を変更する)

▶全員ケモミミの生えた老若男女の見た目に変わります


凛「わお、すごーい」

みあ「漫画って一気に買うと高いからねえ」

幣原「誰が誰か一瞬わからなくなったかな……」

澪和「巻き込まれる前に集合場所で待ってるはずの百瀬さんの場所に行きましょう!」

海堂「わざわざ証拠を残してられませんからね」


▶そのうち、銃声やビームの音、爆音や硝煙の匂いがそこら中からしてきます


構成員「報告します!やはり過激派だと思われます。ターゲットは棗様と書類だと思われます!!」

棗「迂闊だったか……」


▶こっそり撤退していると、君たちの正面に深角が立ち塞がり、大太刀を引き抜いて構えます


深角「見つけたぞ!!!!!お嬢に手を出したらどうなるか、身を持って知るがいい……!!」

鷺「私も手伝う……!漫画の恨み……!!」



みあ「ねえ、アレどう見てもみあたち見てるよね?」

幣原「そういえばこれ誰に化けたんです?」

忍峡「え?さっき外で見かけた奴らで……」

空「天才ですね。見事に大当たりだったようです」

澪和「変に敵対しても勝ち目はありません!なんとかして逃げ切りましょう……!」


▶戦闘前行動 棗 集中狙撃(自分を起点に10m以内に来た対象になんとなく好きなタイミングで12d12の必中物理)

▶戦闘前行動 深角 激怒(皇鷺にダメージが入った場合、物理追加ダメージ+200)

▶戦闘前行動 幣原 お仕事モード(エレメントウィスプ、力の盾改、強化装甲:ディアンドル、グローブ、ロッド、応急薬、樽香、広き心、エーテル飲み薬、ダマスカスカス)

▶戦闘前行動 空 瓊音 ブレイジングインターセプト

▶戦闘前行動 凛 癒しの風 コイノーニア ジャンヌ クロースト サンカイメヒメカ ロンガンブラビ 聖なる光

▶戦闘前行動 海堂 羅宇


[深角 喉仏搔捌割殺(ターン開始時対象1人にワープ移動。自然反応14d17)]幣原

 117ダメージ

[幣原:蚊雷、ヒカリサクナ、厚い薄い本2個]

▶みあ 瞬間石 転移石 高速石 

 門を開こうとする

[キセル乗車]


みあ「いぇーい、一番乗り。ここ開けとけばちょっとは楽になるよね?問題は開かないってことなんだけど」

澪和「棗さんに狙われてます!防衛を固めて下さい!」


[喉仏搔捌割殺]空

 153ダメージ

[空:アムリェート、タリスマン、ストレート式携帯電話[アリスノーリ]]

▶深角 風爆斬首(風。自分を起点に0mの対象全てを1d2でどちらかに15mノックバックさせる)空幣原凛

サモン鷺(生命30。ワープ移動阻害を15mに召喚)

[追撃の首撃(同じマスに1人しかいない対象に魔法必中20d22)]海堂空みあ

 252ダメージ

[空:アムリェート、タリスマン、無限の板[アリスノーリ]]

[海堂:林檎の板2個、厚い薄い本]

[みあ:林檎の板、窓の板2個、薄い本]

[キセル乗車]

[集中狙撃]みあ

 81ダメージ

[みあ:スライド式携帯電話、オンリーイベントカタログ]


▶海堂 待機

▶空 余韻


[喉仏搔捌割殺]海堂

 107ダメージ

[海堂:もこたんの羽]


▶鷺 門を開こうとする

▶鷺はこっそり澪和とみあに近づいて囁きます


空「≪静≫!」

鷺「君……冬泉の隊長さんだよね?重心は嘘、つけないよ?どうしているのかは知らないけど、おじさんに殺されちゃうよ?」

澪和「あう……」


▶幣原 道具速度[尖った石[投石紐]]デリバリー[高速石]

 力の盾 高速回復薬G

 失楽召喚[凛:サモン兎]

 54ダメージ

 22回復

[キセル乗車]

[ローポジション]

▶凛 サンクチュアリ[柳浪、裂帛、レタブリスマン、シズフラット、イチゴーシス]

 81回復


▶サモン兎 門を開こうとする

[集中狙撃]みあ

 83ダメージ

[みあ:スライド式携帯電話、オンリーイベントカタログ]


[喉仏搔捌割殺]みあ

 131ダメージ

[みあ:スライド式携帯電話、オンリーイベントカタログ、ティアズカタログ]

▶海堂 門を開こうとする


▶門が開いたと同時に駆け出すよ。百瀬が宅配のトラックの後ろ側で開けっ放しで待っていてくれたのにダイビングするように飛び込み、澪和が慌てて閉めて逃げ切ったよ


深角「お嬢!ご無事でしたか!!!」

鷺「あ、うん。私は大丈夫。――それより過激派の首謀者は?」

深角「それが……、報告によるとリンインという小娘とのことで」

鷺「そっか……。仕方ない。お姉ちゃんとの同盟、こっちも受けるしかないかな」


――郷宮市 南東地域:金融街雑居ビル4F――


▶百瀬に治療をされながらなんとか郷宮に戻ってくるよ。テオミクが心底心配そうな顔をして君たちの顔を覗き込んできます


テオミク「ご無事でしたか……?」


忍峡「はぁ……ぜぇ……。漏らすかと思った」

澪和「危ない任務だったね。死の恐怖ってちょっと楽しいかもしれない」

澪和「こう、心臓の音が自分のでも聞こえるってのが……生きてるって感じがして」


凛「あぶない兆候だねぇ」

海堂「全く……。これで擦り付けでも出来てないととんだ骨折り損だ」

空「特に誰も怪我せずに帰ってこれました。知ってる顔と出くわすと気まずいものですね」

澪和「そうそう、これが資料です。ご確認下さい」


▶テオミクは資料をペラペラとめくると、両手で抱きかかえるように持ちます


テオミク「ありがとうございます……!この御恩は忘れません……」


澪和「では依頼は完了ということで」

幣原「無事終われそうで良かったかな……」


――郷宮市 南西地域:アパート――


▶アパートの前で忍峡と別れ、幣原の部屋に入ると澪和はニコッと笑って懐から書類を取り出します。さっき渡した書類と同じ書類のようですね


澪和「見て?」


凛「わお、ちゃっかりしてるねー」

幣原「手癖が良くないけど……いいことかな」


澪和「立場が危なくなったらこれで交渉出来るかなって。中身は読めないからざっくりコピーしただけなんだけどね」


みあ「みあたちどうなっちゃうんだろうねえ。板挟み~」


澪和「私達が正しいと思ったことを信じるだけです。それが茨でも」

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