S8.1 皇の巫女 1月10日
――郷宮市 宮文大:研究室――
深角「シャムの皆さんはいますか?メンテナンスをするので今から服を脱いで並びなさい」
凛「えー、せっかくかわいいコーデ出来たのに……。はぁい……」
空「それはかまいませんが、どうして『シャム』なのですか?今更かもしれませんが」
深角「2人合わせてりんくうだからですよ。りんくうといえば泉南イオンでしょう。泉南イオンといえば当然シャムですよ」
空「思ったよりも可愛くない連想ゲームだったことに心底がっかりです」
凛「……?うーん、わかんない……」
深角「それより……、アンドロイドはほとんど全て女性型のはずなのにどうして男になっているのですか?そういう趣味で?」
凛「うぅ……これもわかんない……。この前の……、探索に行った時にきづいたらこうなってて……」
深角「ふむ。とすると……、TSの神に気に入られましたか。そんな肩幅を隠すような華美な服を好むからですよ」
凛「うー……。りんも服もわるくないもーん……」
空「そんなこと、鹿狩瀬さんも言っていましたね。何者なのですか?TSの神というのは」
深角「トランスセクシャルの変化の反応や今後の人生の岐路を無理やり変えることで悦に入り、変化に対しての感情で神格を保ってる神ですよ。固定名を入れると実体化してしまうので半ば現象として扱っています」
深角「でもまあ、そうですね。ちょっと出かけますか。用意をしなさい」
空「……自然現象という事にしておいた方が、収まりがよさそうですね」
凛「はぁい、着るのたいへんだからちょっとまってー……。それで……どこいくの?」
深角「ついてきてみればわかる」
▶深角にトランクに詰め込まれますが、途中のSAで後部座席に乗せ直されます
深角「これから行くのは皇の解呪に長けた人間のところだ。TS神にこの生物は今TSさせるべきじゃないと説得させることを我々は、分かりやすく解呪と呼んでいる」
空「まあ!姉様が……姉様に戻れるのですか!?」
凛「え……もとにもどれるの!?」
深角「そうだ。だから大人しくそこに乗っておけ。あいつの気分を損ねたらTS神と意気投合されるぞ」
空「わかりました、よろしくお願いします」
凛「久しぶりのトランクと思ったら乗せ換えられたのはそういう……はーい」
――山口県 長門市 雪凛神社――
▶長いこと車に揺られ、駐車場も広く剪定もしっかりされている広い神社に到着します。深角は真っ直ぐ社務所に向かって歩き始めます
深角「こっちだ。失礼のないようにな」
空「はい。さあ姉様、こちらへ」
凛「おおー、ひろーい。ありがとー、くーちゃん」
――山口県 長門市 雪凛神社:社務所――
▶社務所に入ると、巫女服の女性がいますね。深角の顔を見ると、ニタァと笑います
???「へぇ?私の知らない間に、そんな可愛いお子さんを2人もできたんだぁ。結婚式にくらい、呼んでくれても良かったのになー?」
深角「こいつらはそういうのじゃねえ。お前の客だよ、槻木」
槻木「まあそうだと思ったけど。お嬢さんたち、こんにちは。私は
凛「ええと……こんにちはー、りんです。よろしくおねがいしますー」
空 「よろしくお願いします。空と申します」
深角「一応連れてきたけど、神前の儀式になる。空、お前は私と共にここで留守番だ」
空「わかりました。姉様、うまくいくことを祈っております」
凛「くーちゃんと一緒には行けないんだ……うー、ちょっとこわいな……」
槻木「じゃありんちゃん。こっちにいらっしゃい。その服装だと女装の良さを説かれちゃうから着替えてね」
凛「え、また脱ぐのぉ……、はーい……」
――山口県 長門市 雪凛神社:儀式の間――
▶普通のワンピースに着せ替えられ、中央の台座に仰向けで寝かされます
槻木「おとなしく横になっててね。これから始めるから」
凛「はーい……どきどき……」
▶槻木は九字を切って、何かをぼそぼそってつぶやいた後、台座が紫に光りだし始めます
槻木「神様……因果を示す綻びを元にお戻しください……!」
▶顔と腰の周り以外が光り輝いた後、紫の光が段々と弱まっていくよ
槻木「顔立ちはもとからイケメンよりだったってことなのかな?消えてほしいものも消えたし問題ないか」
凛「う、うーん……ん、声が……!そして……なくなってる!」
槻木「じゃ、史堂くんに電話するからちょっとはだけた衣服は整えておいてね」
凛「やったー、もどっ……あれ?ほっぺたもっともちもちしてたような……。おしりもなんかちょっとかたいまま……?」
▶槻木が深角と空を連れてきます
槻木「TSの神様のフェチには逆らえないのよ……。ある程度戻っただけ感謝なさいな」
深角「あんまり変わった気はしないが、喜んでるところを見ると変わったんだろう。槻木、ありがとう」
凛「声とかはちゃんと……。あー……完全にはもどせないんだね……。でも確かにここまで戻れたならいっかぁ……。でもりんちゃんのもちもちほっぺ……うー」
空「姉様!ぁぁ……よかった」
深角「そんなものはどうでもいいだろう。とっとと戻ってお優しい隊長の出勤命令に備えるぞ」
凛「ひとまず……槻木さん、ありがとうございましたー。大事なところはとりもどせてよかった……」
槻木「ま、いいけどね。1月中には鷺ちゃんとこに行くわ。鷺ちゃんによろしくね」
深角「ああ。お嬢も喜ぶだろう。お前達、帰るぞ」
空「槻木様、本当にありがとうございました。それでは失礼します」
凛「くーちゃん、ほっぺたちょっとさわってみてー……?やっぱり元よりちょっとかたいまま?顔トレとかで元に近づけられるかなぁ……」
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